前回は,ITビジネスにおける間接侵害の事案を検討する前提として,裁判実務に重要な影響を与えているクラブキャッツアイ事件における「カラオケ法理」を解説しました。 このカラオケ法理の考え方は,東京地裁が先月(2008年6月20日)に判決を言い渡したばかりの「まねきTV事件」にも強く影響を及ぼしています(注1)。同事件の判決文を読むと,カラオケ法理のポイントの1つである「管理・支配の要件」を検討した結果として,著作権法における送信可能化の主体がユーザーである,という判断が下されたことが分かります。 今回は,過去に裁判所で争われた事案に基づいて,ITビジネスにおいてカラオケ法理がどのように適用されているのかを検討してみましょう。 ITビジネスにおける著作権間接侵害の検討手順 ITビジネスにおいて著作権の間接侵害の問題が取り上げられた事案は,数多く存在します(表1)。