超光速の視点から特殊相対性理論を拡張し、量子力学の基本原理を取り入れることが可能になるという理論の研究が発表された。超光速の世界は、3つの時間次元と1つの空間次元からなる時空で説明され、さらには超光速の物体が本当に存在する可能性もあるとしている。この研究は、ポーランドのワルシャワ大学と英オックスフォード大学によるもので、2022年12月30日付で『Classical and Quantum Gravity』に掲載された。 1905年に発表された特殊相対性理論によって、3次元空間に時間が4つ目の次元として加わり、これまで別々に扱われてきた時間と空間の概念がまとめて扱われるようになった。特殊相対性理論は、ガリレオの相対性原理と光速の不変性という2つの仮定に基づいている。 この2つのうち重要なのはガリレオの相対性原理だ。この原理では、全ての慣性系において物理法則は同じであり、全ての慣性観測者は同
長期水力エネルギー貯蔵システムを開発しているイギリスの企業RheEnergiseは2024年4月29日、水の2.5倍の密度を持つ流体を用いた、高密度水力貯蔵システム「HD Hydro」の実証機を建設すると発表した。この種のシステムの実証機建設は世界初のことだという。建設作業は間もなく開始され、9月には試運転が開始される予定だ。 長期エネルギー貯蔵技術のHD Hydroシステムは、低コストでエネルギー効率が高く、環境にも優しいのが特徴だ。水力発電は、高い所に貯めた水を低い所に流すときに生じる位置エネルギーを利用して電気を生み出す仕組みだが、このシステムでは水の代わりに、同社が開発した水より2.5倍密度が高い流体を使用する。それにより、スコットランドのハイランド地方やウェールズなど世界各地で稼働している従来の低密度水力発電システムと比較して、2.5倍のエネルギーを供給できる。 今回RheEne
弾性熱量効果(Elastocaloric effect)を利用し、ニッケルチタン(NiTi)合金であるニチノールで作られた「人工筋肉」で冷却する世界初の小型冷却機が開発された。この研究は独ザールラント大学と独メカトロニクス・自動化技術センター(Center for Mechatronics and Automation Technology:ZeMA)によるもので、ドイツのハノーバーで2024年4月22〜26日に開催された国際見本市「Hannover Messe 2024」でプロトタイプが展示された。 弾性熱量効果とは、弾性体の形状が急激に変形する際に発熱や吸熱が起こるというものだ。円筒形のプロトタイプに組み込まれている新技術は、ワイヤーに力を加えて引き伸ばしてから力を取り除き、ワイヤーが元の状態になると、その際に空間から熱が取り除かれるという単純な原理に基づいている。 研究チームは、熱を
ロケットによる宇宙への輸送サービスの実現を目指す民間の宇宙ベンチャー、インターステラテクノロジズは2023年12月7日、牛のふん尿から製造した液化バイオメタン(LBM)を使ったロケット燃料のエンジン燃焼実験に成功したと発表した。LBMのエンジン燃焼試験については欧州宇宙機関(ESA)が実施を公表しているが、民間ロケット会社では世界初となる。 実験が行われたのは北海道大樹町の商業宇宙港、北海道スペースポート(HOSPO)の試験施設で、報道陣にも公開された。 エンジンは、小型人工衛星打上げロケット「ZERO」に搭載する「COSMOS(コスモス)」で、東京大学との共同研究などで自社開発した。また、LBMは、産業ガス大手のエア・ウォーター北海道が大樹町のある十勝地区の牧場などから出た牛のふん尿を発酵させるなどして製造した。 エア・ウォーター北海道は、牛のふん尿から発生するバイオガスを、液化天然ガス
豪ロイヤルメルボルン工科(RMIT)大学の研究チームが、リチウムイオン電池などの二次電池技術に代わる、プロトン電池を開発した。すでに、同技術に関して国際特許を取得しており、安全で手頃な価格の環境に優しいエネルギー貯蔵技術を提供できるとしている。 国際合意されている2030年までの温室効果ガス削減目標達成には、世界の再生可能エネルギーシステムへの移行が不可欠であるため、低コストで環境負荷の少ない蓄電システム開発が必要とされる。 今回開発したプロトン電池は、水電解と燃料電池反応が同一のセルで生じる可逆セルと、水素貯蔵電極を組み合わせたシステムだ。充電時には、水は酸素ガスと水素イオンに分解され、水素イオンは水素側の炭素電極に貯蔵される。放電時には、燃料電池のように働き、炭素電極から水素イオンが酸素極に移動して酸素ガスと反応し電気と水を生成する。燃料電池と異なり、高圧下で水素ガスを貯蔵し、再び水素
自動車に搭載される電子システムの高度化に伴い、搭載されるワイヤレス・システムや車載通信ネットワークなどがハッキングや車両盗難に対して脆弱であるという指摘がある。 ミシガン大学の研究チームは、高度な無線ハッキングやドアのこじ開けによる侵入から自動車を守る、車両セキュリティ・システム「Battery Sleuth」を開発/テストしている。それは、ありふれたローテク機能であるアクセサリーソケット(旧来のシガーライターソケット)を使った防盗ソリューションだ。 Battery Sleuthの特徴は、無線を使ったスマートキーや車載ネットワークといった手段ではなく、車両のバッテリー電源の電圧変動を検知することでドライバーを認証するところにある。システムとのやり取りには、ドライバーはアクセサリーソケットに差し込んだキーパッド・デバイスを使用する。 このシステムは、ドライバーがキーパッドに数字コードを入力す
2022年11月にOpenAIからリリースされて以来、世界に衝撃を与えている「ChatGPT」。さまざまな分野で活用が期待される一方で、その影響を不安視する声も少なくない。特に教育の現場では、まるで人間のような文章を作成する自然言語処理AIの登場が、生徒の思考能力や表現力の育成を脅かすのではないかと懸念されている。加えて、大学など高等教育の場では機密情報の漏洩や盗用などにつながる可能性があるため、日本でもAIのみを使った論文作成を禁じる大学が続出しているのが現状だ。 こうした状況の中、テキサス A&M大学コマース校の教授から学生たちに送られたメールが物議を醸している。メールを送ったのは農業科学と天然資源を専門とするJared Mumm博士。その内容は、提出されたレポートを確認したところ、ChatGPTが作成したものと判断したためクラス全員に落第点を与える、納得できない場合は補習課題を提出し
アメリカのアート集団MSCHF(ミスチーフ)は、Louis Vuittonのハンドバッグを模した、塩粒ほどの大きさのアート作品を製作し、オークションに出品した。その小ささは、顕微鏡を通さないと鑑賞することが難しいほどだ。 グリーンのPhotopolymer(光硬化樹脂)で形成された極小のハンドバッグは、ゲルを充填したケースに密封された状態で、顕微鏡にセットされて展示される。作品の姿は、顕微鏡に付属するディスプレイに投影できる。 パリのMatignon 8番通りで開催される展覧会で、2023年6月20日から24日の期間で一般公開をし、この作品をオークションプラットホームであるJOOPITERに出品した。 このハンドバッグを製作する技術は、ステレオリソグラフィープロセスだ。この技術は、小さく機械的なバイオテクノロジー構造物の製作によく使用されるもので、今回の作品制作においては、ミニチュア化にお
ウクライナ発のDIY系YouTubeチャンネル「The Q」は2023年5月19日、タイヤが三角形の自転車を制作する過程とデモンストレーションを公開した。 タイヤは、球面三角形とも言われる定幅図形「ルーローの三角形」で作られている。正三角形の各頂点を中心、各辺を半径とする3つの円が重なったところにできる、三辺が少し膨らんだ三角形だ。ルーローの三角形は同じ高さを保って転がれるのが特徴で、ロータリーエンジンのローターの形状もその一例だ。 ただし、ルーローの三角形は同じ高さを保って転がることができるという特徴はあるものの、三角形の重心は上下するため、そのままフロントフォークやシートステーに直結したのではボディが上下に振動して、自転車としては乗りにくいものになる。そこで前後タイヤの支持部はスイングアームを介して上下にストロークできる構造とし、タイヤの上部はフレームに設けたフラットローラーを使ってフ
ロボット技術のスタートアップ企業である米Shift Roboticsは、歩行速度を2.5倍にする、歩行補助デバイス「Moonwalkers」を発表した。Moonwalkersは、履いている靴のうえに装着するデバイスで、8輪のドライブトレインが歩行をアシストする。 このデバイスは一見、ローラースケートのようにも見えるが、使用方法はスケートの動作ではなく、普通に歩くことで機能する。Moonwalkersに搭載されたAI(人工知能)が歩幅を検出して車輪を制御し、速く歩こうとすれば加速し、ゆっくり歩けば減速する。 Moonwalkersの操作には、スイッチやコントローラーは使用しない。使用者が脚でジェスチャーすることで、平地を歩く「SHIFT」モードと、階段で車輪を固定する「LOCK」モードを切り替える。 1回の充電での平均航続距離は10.5マイル(約17km)、トップスピードは時速7マイル(約1
フィンランドのPolar Night Energyは、同国のエネルギー企業Vatajankoskiと共同で、砂に熱エネルギーを貯蔵する、世界初の商用システム「Sand battery」の運用を開始した。グリーン電力を何カ月も保存可能で、年間を通して安定したエネルギー供給を可能にする。 Sand batteryは、安価で豊富な砂を蓄熱材料とし、太陽光や風力から生成した電力を約500℃の熱に変換して砂に蓄える。砂の内部に伝熱システムを備え、断熱性を最適化することで、効果的なエネルギー輸送と熱損失を最小限に抑えた長期保存を可能にした。用途に応じて規模を調整しやすく、場所を選ばず地上だけでなく地下にも設置できる。 今回、Vatajankoskiの発電所に設置されたシステムは、直径4m、高さ7mのスチールコンテナ型で、砂の量は何百トンにもなる。容量は8MWh、出力は100kWで、実際に発電所近辺の温
京都フュージョニアリングは2022年7月6日、世界で初めて核融合発電システムによる発電を試験するプラント「UNITY(独自統合試験施設)」の基本設計を完了し、建設プロジェクトに着手したと発表した。プラントは2022年8月に建設を開始する予定で、2024年12月より発電実証試験を開始する。 UNITY発電プラントは、国内のパートナー企業複数社との協業により、建設。同社の核融合プラント機器とプラントエンジニアリング技術を統合的に実証し、核融合の商用化に向けた未踏の炉工学製品群を開発する。 京都大学発スタートアップの同社は、プラズマ加熱装置、熱取り出しブランケット、高性能熱交換器、水素同位体排気循環装置をはじめとした一連の特殊プラント機器群にて世界有数の技術力を有する。 UNITYは、核融合発電所の実環境に近い条件下で、「核融合炉からの熱取り出し」と「発電」に用いられる一連の特殊機器を統合的に開
電気通信大学大学院情報理工学研究科の宮脇陽一教授らの研究グループは2022年2月14日、フランス国立科学研究センター(CNRS)と共同で、身体の他の部分から独立して動かせる人工指「sixth finger」を開発し、自らの身体の一部として取り込む(身体化する)実験に成功したと発表した。sixth fingerの使用に短時間慣れることで、身体化したときに起こる感覚と行動の変容を世界で初めて捉えた。 研究グループは、他の身体部位の機能や動きと独立して制御でき、手のひらに装着できる小型の人工指システムで、腕の筋肉の電気活動で制御できるシステム「第6の指(sixth finger)」を開発した。 sixth fingerは、センサーで腕の筋肉の電気活動を計測し、指を曲げ伸ばしするときに通常生じる腕の筋肉の電気活動とは異なる特定の信号パターンとなったときに動くように設計。この設計により、sixth
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