南極のゲルラッシュ海峡で、朝日に照らされたシャチの息(PHOTOGRAPH BY JASPER DOEST, NAT GEO IMAGE COLLECTION) クジラは大きいので、人間を生きたままのみ込めると思われてきた。過去にもそんな物語や伝説は多く残されている。2021年6月には、米国でロブスター漁師がクジラの口に吸い込まれ、その後、吐き出されるという事故がニュースになったばかりだ。しかし実際のところ、ほとんどのクジラは人をのみ込むことができない。 6月の事故を受けて、ナショナル ジオグラフィックが英国の非営利団体「クジラ・イルカ保護協会(WDC)」のニコラ・ホジンズ氏に話を聞いた。ホジンズ氏によれば、クジラの喉(のど)はそれほど広くないという。 たとえばザトウクジラの場合、口は3メートルに達しても、喉はせいぜい直径40センチほどしか広がらない。唯一、人間が通る喉を持つのがマッコウク