政府と自治体が共通利用するIT(情報技術)基盤「ガバメントクラウド」上に、政府のポータルサイト「e-Gov」を移行させるプロジェクトが始まった。デジタル庁は2024年3月末に移行を完了する計画で、大規模行政システムのガバメントクラウド移行はこれが最初となる。これまでe-Govに関する大半の開発運用案件は富士通が受注してきた。今回の移行に関わる設計開発業務の一般競争入札には富士通も入札したが、落
出典:日経クロステック、2022年10月19日 (記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります) データベースを含むシステムをクラウドに移行する流れが加速しています。これはいくつかの社会的背景が重なったためです。 1つはDX(デジタルトランスフォーメーション)への迅速な取り組みを求めるニーズです。クラウドが備えるスピードと拡張性はこのニーズに合致します。 2つめはITエンジニアの採用難です。人手がかけられない状況のなか、クラウドでは様々な処理を自動化できます。生産性を高めることにもつながります。こうしたクラウドの効果を実感した企業が、本格的にクラウドへの移行を始めています。 そして3つめがコスト削減です。多くの企業では、システム運用のコストがかかりすぎる状況に陥っており、活用などの価値創出にかける予算と人員が少ないのが現状です。 データベースでいえば、データは増え続けてデ
2023年はデジタル庁が各府省庁や自治体、ITベンダーと連携して、情報システム基盤の共同利用をスムーズに進められるか否か、試される年になる。焦点は「ガバメントクラウド」だ。 70弱システムをガバクラへ移行 デジタル庁はネットワークやシステム基盤の共通化・統合などを進め、政府情報システムの保守運用費を2025年度までに3割削減する目標を掲げる。共通基盤整備の目玉が、民間クラウドサービスを活用したガバメントクラウドで「Amazon Web Services(AWS)」などが採択されている。2023年度は各府省庁の70弱のシステムがガバメントクラウドへの移行を予定する。まずは比較的小規模システムの移行を進めるが、将来的には外交や防衛関連など機密性の高いデータを扱うシステムを除くすべての政府情報システムの移行を想定する。 ただ、ガバメントクラウドへの移行には懸念も残る。各府省庁のシステムをガバメン
楽天グループがオンプレミス(自社所有)環境のプライベートクラウド「One Cloud」を拡充し、グループ企業の各種事業が用いるIT基盤の統合を進めることが日経クロステックの取材で分かった。現在、パブリッククラウドで稼働させているシステムが多数あるが、原則としてOne Cloudへシフトしていく。グループ全社でIT基盤のプライベートクラウドへの集約を進めてコスト効率を高めるほか、IT基盤のノウハウを蓄積し安定稼働やセキュリティー強化につなげる。 プライベートクラウドは、新たに参入を計画する法人向けITサービスの基盤にも活用する。計画するのは本人確認に使うeKYCやWebサイトのアクセス分析、電子決済の機能などだ。いずれもグループの事業で使うために開発した技術で、従量制のパブリッククラウドサービスとして外販する方向で準備を進めている。 部分的だったOne Cloudの利用、まず楽天市場で全面採
格安PCボード「Raspberry Pi」(ラズパイ)の主要な販売元だった英RS Components(以下、RS)が、ラズパイの製造・販売から2022年6月末で撤退したことが明らかになった。 これまでラズパイは、RS(製造は関連会社のOKdoが担当)、element14(英Premier Farnellの子会社)、英Raspberry Pi財団の3つの製造元(ブランド)が供給していた。このうち、RS(OKdo)のブランドがなくなり、今後は残り2つのブランドだけになる。 ただし、ラズパイの日本の一次代理店であるケイエスワイ(KSY)代表取締役の山下慎二氏は、「今回の件はラズパイの生産量全体には特に影響しないだろう」と語る。ラズパイはどのブランドも、ほぼ全量をソニーが委託を受けて生産しているためだ。 ラズパイは世界での需要が高まっているのに対し、半導体不足などから製造が追いつかず、品薄の状態
春の人事異動でマーケティング部門へ異動になった人、そして新卒でマーケター職に就いた人はどうすれば活躍できるのか。OFFICE MASA代表で吉野家常務取締役の伊東正明氏は、「お客様に会いにいくことが何より大事」だと話す。 核となる話題の周辺事項に学びがある マーケティング職に就く人には、シンプルですが「お客様に会いにいく、話を聞く」ことを何よりも大切にしてほしいと思います。自社のマーケティングプロセスに、ユーザー調査がある場合は調査を行う人が多いですが、そうでない場合、意外と聞きにいっていないことが多い印象があります。 <音部氏(第30回)からのメッセージはこちら> (インタビュー直前も)オンラインでユーザー調査をしていましたが、ユーザーの気持ちを分かっていると思っていても、30分話を聞くことで仮説が確信に変わったり、ビジネスに使えるアイデアが複数個出てきたりします。知り合いに自社の商品や
暴露サイトに、富士通から流出したとみられるデータが複数掲載されていることが2021年8月26日までに分かった。顧客のものと思われるシステム関連データで、データベース設計書やシステム管理設計書などが含まれる。 セキュリティー問題に詳しいS&Jの三輪信雄社長によると、暴露サイトに情報が掲載されたのは8月25日ごろ。流出したデータは4GB(ギガバイト)で、そのうち解凍後で56MB(メガバイト)分が証拠としてさらされているという。ファイルの中には、東レなどの名前が含まれていた。「仮に正式なデータであれば、サイバー攻撃に悪用される恐れのある重要な情報が流出している」と三輪社長は指摘する。流出経路などは分かっていない。 富士通広報は「暴露サイトに当社からの入手を示唆した情報が掲載されていることは把握している。情報の入手元が当社であるか否かを含め詳細は現時点で不明。詳細の回答は控える」とした。東レ広報か
婚活マッチングアプリ「Omiai」で、171万件もの会員情報流出が判明した。流出したデータには運転免許証やパスポート画像などが含まれる。氏名や住所に加えユーザーの顔写真情報まで流出したのは深刻な問題だ。運営するネットマーケティングは再発防止策を講じたものの、流出したデータによる二次被害を防ぐ手立ては見つかっていない。 婚活マッチングアプリ「Omiai」を運営するネットマーケティングは2021年5月21日、不正アクセスによるデータ流出に関するおわびを公表した。Omiaiは2020年10月時点で累計会員数が600万人を超える大手のサービスだ。 この事件はすぐさま新聞各紙やテレビ、インターネットのニュースサイトなどで報じられ、大きな話題になった。その理由の一つは、流出したデータが氏名や住所、生年月日などアカウント数で171万1756件と大規模だったこと、さらには恋人探しや婚活など、利用者にとって
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)の創業者であるジェフ・ベゾス氏がCEO(最高経営責任者)を退任するとのことで、ここ数日のIT業界はその話題で持ちきりだ。そのおかげで、アマゾンの有名なモットーを思い出せた。これはとてもラッキーだ。なぜかと言うと、「極言暴論」の主要テーマとまさにドンピシャだからだ。 そのモットーとはベゾス氏がよく口にするという「Good intention doesn’t work, only mechanism works!」だ。和訳すれば「善意(良い意図)は役に立たない。仕組みだけが役に立つ」といったところか。「アマゾンの社風は軍隊的だ」などと言う人からすると、まさにそれを象徴する言葉として受け取られているようだが、私から言わせれば素晴らしい言葉である。 あっ、何もアマゾンのEC(電子商取引)サイトの「仕組み」が素晴らしいと称賛しているわけではないぞ。だか
政府が2020年10月に稼働させる第2期政府共通プラットフォーム(PF)を構築・運用するITベンダーの体制が固まった。2020年8月下旬までに実施した政府調達で、運用管理業務の事業者にNECを、米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)から調達するクラウドサービスの購入窓口として日立システムズを選定したことが日経クロステックの取材で分かった。 政府は省庁横断で利用する第2期政府共通PFに日本国内向けのパブリッククラウド「Amazon Web Services( AWS)」を採用する方針を決めている。同PFをパブリッククラウドの本格活用で行政システムのコスト削減や運用効率化を達成する先行プロジェクトと位置付けている。国産勢が太刀打ちできないAWSの価格競争力の高さを改めて示した。 NECが受注した「運用管理」の内容は日常的なシステム運用管理業務にとどまらない。既存システムの移行支援を含めた様々な
DX時代に求められるITアーキテクチャーの構成は複雑なことが多く、必要な要素技術や設計・開発手法も多岐にわたる。その全体像を把握するのは困難に思えるが、以下のように7階層に分けて考えると理解しやすい。 ●DXを支える7階層のITアーキテクチャー (1)チャネル層 (2)UI/UX層 (3)デジタルサービス層 (4)サービス連携層 (5)ビジネスサービス層 (6)データサービス層 (7)データプロバイダー層 今回はこの図を基に、7階層のそれぞれの特徴とDX移行時に押さえるべき要素技術や仕様、よくある課題について順番に見ていこう。 (1)チャネル層はユーザーとの最初の接点 ユーザーとサービスとの最初の接点となる部分の階層。パソコン、スマートフォン、タブレットなどの端末、そこからアクセスするアプリケーション(Webブラウザー、チャットボット、SMSなど)の他、コールセンターなどの顧客サービスもチ
新型コロナウイルスの感染拡大により世界レベルでの景気後退が現実味を帯びてきた。人々の移動が制限され、経済活動が滞り、各国の株式市場で株価の暴落や乱高下が続いたこともあり、2020年度は厳しい経済環境下でのスタートとなった。感染拡大の行方が見通せないために予測は難しいが、最悪の場合、長期にわたる世界同時不況に陥る恐れもある。 そうなると企業は設備投資に慎重にならざるを得ない。収益環境が悪化してくれば、全社的なコスト削減に乗り出す必要も出てくる。では、IT投資やITコストはどうか。これまでの不況時は多くの企業がシステム刷新などの計画を凍結し、IT部門の人件費やシステム保守運用の外部委託費などの削減に走った。今回も同じような対応でよいのだろうか。 多くの企業は今、デジタルトランスフォーメーション(DX)を経営課題に掲げている。言うまでもなくDXはデジタルを活用したビジネス構造の変革だ。デジタルサ
富士通は顧客のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援すべく子会社の「Ridgelinez(リッジラインズ)」を設立し、2020年4月1日から事業を開始する。新会社の社長を託すのは富士通出身ながら現在PwCコンサルティング副代表執行役を務める今井俊哉氏だ。 今井新社長は2020年3月9日に日経クロステックの単独インタビューに応じ、「外資系コンサルティング企業で当たり前のやり方を持ち込む」と経営の基軸とその詳細を初めてメディアに語った。デジタル時代を迎え富士通自身の変革が求められるなか、外資系の流儀は変革の起爆剤となるか。 丸投げをあえて拒否 Ridgelinezの主力事業は顧客企業のDX支援である。主にDXのコンサルティングとプロトタイプシステムの構築の2つを受け持つ。システム開発の最上流に位置するビジネス戦略策定のほか、システムの開発・運用などについては、パートナー企業と協業する。
富士通は2020年3月6日、日本政府向けのクラウド事業に本格参入すると発表した。同社のクラウドサービス「FUJITSU Cloud Service for OSS」をベースに、中央省庁や関連機関向けの新たなクラウドサービスを開発し、2020年5月に販売を始める計画という。 政府向けのクラウドサービスを巡っては、2020年秋に運用開始予定の「政府共通プラットフォーム」において、米アマゾン・ウェブ・サービスのパブリッククラウドサービス「Amazon Web Services(AWS)」が採用されることが決まっている。富士通は「基幹業務にかかわる情報システムのクラウド化対応などに自社サービスを提案していく」(富士通広報)考えで、AWSへの対抗を狙う。 富士通が提供する政府向けクラウドサービスは、システム要件に応じて3つの形態を選べるようにした。各省庁間でサーバーとストレージ、管理機能を共有して利
デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させるのに役立つ3つのクラウド技術、「データレイク」「コンテナ」「マルチクラウド」の中から、今回はマルチクラウドを活用するZOZO、NTTドコモ、星野リゾート、マイナビの事例を紹介する。 マルチクラウド 先端サービスを活用 「新しい事業や商品・サービスを作る際、クラウドの先端サービスでなければニーズを満たせないことがある。そこで複数のクラウドのサービスを併用し、マルチクラウドの構成にしている」。ZOZOのIT子会社であるZOZOテクノロジーズの岡大勝開発部Chief ZOZOTOWN Architect(CZA)はクラウド利用の方針をこう説明する。 ZOZOが最も利用するクラウドは米アマゾン・ウェブ・サービスのAmazon Web Services(AWS)だ。「AWSは顧客の声に基づいてサービスを開発しており、全般に使い勝手が良い」と岡CZA
2019年10月1日の消費増税が目前に迫っている。IT対応でトラブル発生のリスクが高いのは、増税と同時に始まる「軽減税率制度」と「キャッシュレス・ポイント還元事業(正式名称はキャッシュレス・消費者還元事業)」の2つだ。今回は後者に関して、既に起こったトラブルを見ていく。 4月から準備、9月入って「ドタキャン」 「正直言ってあきれている。いくら何でもこの時期はないだろう」――。 こうこぼすのはコープさっぽろの米内徹常務理事管理本部長だ。2019年4月ごろから約5000万円を投じて、キャッシュレス・ポイント還元事業に参加するためのシステム改修を進め、2019年7月に事業者(加盟店)登録を申請した。
1994年に発売された大人気ゲーム「ファイナルファンタジーVI(FF6)」(スーパーファミコン版)をやりこみ、2019年になっても未発見の「バグ」を見つけ出し続けている人がいる。ここ数年、熱心なゲームファンを何度も驚かせているのが、「エディ」のハンドルネームで知られるプレーヤーだ。必須のイベントをクリアせずに先に進める方法を見つけ出し、毎年のようにゲームクリアまでの「歩数」の最少記録を更新している。 本記事でいうバグとは、ゲーム開発者が意図していなかったと推測される仕様を含む。特別な操作をすると通常とは異なる挙動となり、いわゆる「裏技」が可能になる。 FF6スーパーファミコン版はスクウェア(現スクウェア・エニックス)が開発したロールプレイングゲーム(RPG)で、美しいグラフィック、ドラマチックなシナリオ、完成度の高いゲームシステムが好評を博し、全世界で約340万本の売り上げを記録した。人気
個人情報を入力するWebサイトでは、Webブラウザーに鍵マーク(錠マーク)が表示されているのを確認する――。セキュリティーのセオリーとして、筆者が何度も記事に書いたフレーズだ。 だが、「鍵マークが表示されていれば安全」というHTTPSの神話は崩壊した。常識が変わったのだ。 米国の政府組織であるインターネット犯罪苦情センター(IC3)は2019年6月、「Webブラウザーのアドレスバーに、鍵のアイコンあるいは『https』という表示があるという理由だけでWebサイトを信頼しないでください」と注意を呼びかけた。
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