米大統領選を数カ月後に控えたタイミングで下されたトランプ氏への有罪評決は、世界に影響を与える。民主主義を守る砦(とりで)として振る舞う米国は、その真価が再び問われることになるだろう。大統領経験者に対する有罪評決は米国では異例だが、ブラジル、イスラエル、韓国、イタリア、フランスなど他の民主主義国家では、これまで元指導者が裁判にかけられている。 スウェーデンの独立調査機関V-Dem研究所のデータによると、過去15年間で、世界の人口に占める割合で独裁国家が民主主義国家を抜いた。とりわけ東欧とアジア諸国の一部で民主主義が著しく後退した。 米ピュー・リサーチ・センターの2月の報告書は、調査対象とした22カ国の半数で、統治形態として議会制民主主義が非常に良いと考える人の割合が2017年以降減っていることを明らかにした。 だが、ウクライナや台湾、フィリピン、バルカン諸国の政府にとっての懸念は、米国の民主