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5年に1度行われ、今夏にも公表される年金の財政検証を巡り、国会質疑でも取り沙汰され、早くも議論が沸騰している。 特に話題になっているのは、自営業者や非正規雇用者などが加入する国民年金の保険料の拠出期間を、現行の40年(20~59歳)から45年(20~64歳)に延長するという「案」にまつわるものである。 拠出期間を40年から45年にする「案」は、法案にすらなってもいないものである。政府はこれを採用するとすら決めてもいないのが現状だ。あくまでも、今夏に行われる年金の財政検証で、さまざまな試算結果を示すものの1つとして提示することを、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会年金部会で了承したまでである。 その年金部会の会合が、4月16日に開催され、どんなケースを試算するかの案として示されたことから、話題になっている。 5年前も、10年前も示されている しかし、この保険料拠出期間を45年に延長す
円安が止まらない。4月26日のNY(ニューヨーク)外国為替市場では1ドル=158円台前半まで下落し、1990年5月以来34年ぶりの安値となった。 円安は日本の輸出企業にとっては1ドル=160円でも170円でもメリットになるため、どんな円安でも歓迎だ。ただ、日本国全体で見るとどうか。海外原料を使う国内企業にとっては当然デメリットとなる一方、小売業などはインバウンド需要が盛り上がり、かなり相殺される。 しかし、原油などのエネルギー資源の輸入額は規模が大きいので、物価高となって日本経済を圧迫する。そうなると、無理な為替介入や利上げをしなければならなくなり、物価上昇も伴って日本経済にとっては「悪い円安」となる。そのボーダーラインはどこか。 介入のカギを握っているのは何か 介入の動きのない政策当局の態度を見ていると、「現状」では158円でも円安メリットがデメリットを上回っていると考えているのではない
「4・28トリプル補選」の投開票まで残り5日となり、衆院の東京15区、島根1区、長崎3区で、それぞれ各党や政治団体がしのぎを削っている。ただ、いずれも自民の議席だった補欠選挙にもかかわらず、同党は東京、長崎で不戦敗に追い込まれ、公認候補擁立は島根のみ。しかも、ここでも立憲民主の公認候補が先行しており、岸田文雄首相や自民党執行部は「全敗」への不安におののいている。 今回のトリプル補選は、昨年11月に自民党の巨額裏金事件が発覚して以来の初の国政選挙。自民が公認候補擁立を複数区で見送る補選は2002年以来の異常事態となるが、この時は7補選の中で擁立を見送った3カ所も、すべて無所属候補を推薦した。しかし、今回は東京、長崎では他候補の推薦もできず、保守王国の島根でさえも、裏金事件での強い逆風で苦戦を強いられている。 情勢調査では立憲民主公認候補がリード 週明けに公表された大手メディアの情勢調査では、
ロシアによるウクライナへの違法な一方的侵攻が始まってから2024年2月24日で丸2年が経過した。ウクライナ軍は侵攻当初、ロシア軍のキーウ占領作戦を跳ね返し、次第に戦争の主導権を握った。 しかし、2023年6月に開始した反攻作戦が不発に終わったのを契機にロシア軍が盛り返し、ウクライナ軍は守勢を余儀なくされている。なぜそうなったのか。今後の戦争の行方はどうなるのか。さらにこの戦争が持つ日本にとっての意味も含めて考えてみた。 要衝アブデーフカからの撤退 ウクライナ軍の現在の苦境を象徴したのが2024年2月半ば、それまで死守していた東部ドネツク州の要衝アブデーフカからの撤退だ。 キーウの軍事筋によると、ウクライナ軍は撤退発表直前にザルジニー軍総司令官の解任とシルスキー氏の起用を発表したが、実はその際に撤退も併せて決めていた。シルスキー氏は、ほぼ完全包囲されていたアブデーフカをこれ以上、死守するのは
これから物価目標達成を宣言し、マイナス金利を解除していくにしては弱気な発言だと、筆者は感じた。 「サービスインフレ」を支えるのは外食と宿泊料 2023年12月のCPI(消費者物価指数)によると、総合の前年同月比は2.6%で、そのうち財が2.8%、サービスが2.3%である。サービスを押し上げているのは、外食(一般サービス分、サービスの前年同月比への寄与度は0.38%ポイント)や宿泊料(0.96%ポイント)で6割弱を占める。 言うまでもなく、外食は原材料やエネルギー価格の高騰の影響を受けており、宿泊料は前年の全国旅行支援で指数が低下していたことの反動や、インバウンド消費のペントアップ需要による影響が大きいだろう。 サービスはCPI全体を10,000としたときに4954のウェイトを占めるが、そのうち公共サービスが1219で、民営家賃(225)と持ち家の帰属家賃(1580)が合計で1805で、その
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GMS大手の「イトーヨーカ堂」が、北海道と東北、信越にある「イトーヨーカドー」の全17店舗を、今春から順次閉店することがわかった。 近年、GMSは苦境を強いられており、特に地方立地店舗では郊外型店舗への客足流入などで苦しい状況が続いている。撤退店舗の半分は譲渡先の企業が決定したというが、まだ半分は譲渡先が決まっておらず、もし完全閉店となれば、買い物難民が生まれる恐れもある。 一時は日本を代表するGMSとして名を馳せたヨーカドー。そんなGMSの王者は、どこで道を誤ってしまったのか。今回は、ヨーカドー拡大の歴史を追いながら、その立地戦略に注目してヨーカドー苦境の理由について迫っていこう。 ヨーカドーの前身は「羊華堂洋品店」 ヨーカドーの前身である「羊華堂洋品店」は1920年、東京・浅草に誕生した。創業者は吉川敏雄で、後にヨーカドーを立ち上げる伊藤雅俊の叔父にあたる人物。太平洋戦争ののち、この洋
ロシアのウクライナ侵攻後、初めて国会議員として訪ロし、現地でのロシア寄りの言動で批判された日本維新の会の鈴木宗男参院議員(国会議員団副代表)が10月10日、同党が決めた「除名処分」を、機先を制して自ら離党して発動させなかったことが、永田町で波紋を広げている。 わざわざ党役員会で確認した鈴木氏への厳しい処分を、同氏への伝達の際の「離党」届を受理することで、あっさり見送らざるをえなかったのが馬場伸幸代表。「海千山千の鈴木氏の“肩透かし戦術”に腰砕けになった」(維新若手)とされる迷走ぶりに、党内から「馬場執行部の統治能力が問われる」(同)との批判も相次ぎ、政治的ダメージは避けられそうもない。 「ロシアの勝利を確信」発言に吉村氏が怒り 今回の騒動は、鈴木氏が10月1日から5日までの日程でロシアに渡航し、その際、ロシアメディアへ寄せたビデオメッセージで「ロシアの勝利を確信している」などと発言したうえ
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インドでG20首脳会議が行われている最中の9月9日、林外相がウクライナを初訪問した。日本政府のウクライナ政府への支持を確認したという以外に特に目新しいものは見当たらないが、そもそも外交的にどのような意義がある訪問だったのか、あえて検討してみたい。 G20のタイミングで訪問したワケ まずはそのタイミングだ。G20首脳会議がインドで開催されている中で行われた訪問だった。岸田首相のG20参加と同時期に林外相が中東と東欧を歴訪しており、外交の観点から非常に積極的である。確かに国会閉会中の9月は外交日程をこなすにはいいタイミングである。これから国連総会も始まる。 しかし、あえてこのタイミングでウクライナを訪問したのは、それ以外に外交的に重要な意味がある。それは、G20サミットにウクライナが招待されなかったことに関係している。 日本が議長国を務めるG7サミットにはゼレンスキー大統領が電撃的に現れて話題
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前回のコラム「『盛りすぎた日本株上昇論』が行き詰まりそうだ」が掲載された3月13日以降、日米など主要国の株価調整が進んだ。 とくに日経平均株価については「9日までの『株価が上がる要因探し大会』は今後行き詰まり、日本株は下落色を鮮明にしていくと見込む」と述べたが、残念ながら見込んだとおりの展開となった。まさにこの9日が最近の日経平均のピークとなっている。 銀行不安がなければ株価は上がっていたのか そうした株価推移について、「いや、この世界的な株価の波乱は、ひとえにシリコンバレーバンク(SVB)やクレディ・スイス・グループの苦境により、銀行経営への懸念が広がったことによるものだ。馬渕さんはこれらの銀行経営不安についてはまったく予想できていなかった。見通しがたまたま『まぐれ当たり』したにすぎないのではないか」といった意見もあるだろう。 もしそうした見解が正しければ「銀行経営に対する不安が生じなけ
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ヨーロッパの家庭で今、空前のヒットとなっている日本企業の製品がある。ヒートポンプ式の暖房設備だ。 シェア約20%と首位のダイキン工業を筆頭に、パナソニックや三菱電機、富士通ゼネラルなどが製品を展開しており、「2021年度は販売台数が前年度比で7割弱伸びた」(ダイキン)。生産が追いつかず、各社がバックオーダーを抱えるほどの盛況ぶりだ。 2月13日(月)発売の『週刊東洋経済』では、「どうするエネルギー危機 どうなる脱炭素」を特集。あらゆるエネルギー価格が高騰し続ける中、経済成長を維持しながらエネルギー安全保障と脱炭素をどう両立させるか。難しい課題に直面する日本と世界の最前線を追っている。 ヒートポンプとは、空気中にある熱を集めて圧縮機にかけ、冷媒を電気で圧縮することで室内に運ぶ技術のこと。日本では給湯器の「エコキュート」に使われる技術として知られる。 ヨーロッパでは建物全体を一元的に制御するセ
4月8日に任期満了を迎える日銀の黒田東彦総裁。任期中最後となる、次の3月の金融政策決定会合で動くかもしれない(写真:REX/アフロ) 日本銀行は1月17~18日に行われた金融政策決定会合で、政策変更を行わなかった。これは国内関係者の予想どおりで、海外トレーダーの予想は外れたわけだが、これはいつものことで、中央銀行という政策決定者の行動原理と心理をわかっていないからだ。 では、中央銀行の行動原理と心理とは何か。これが今回のテーマである。 なぜトレーダーの「仕掛け」は失敗に終わったのか 投資家、トレーダーたちは、取引は勝負だと思っている。つまり「儲けたものが勝ち、損したものが負け」だから、なんとしても勝つ、儲ける、損はなんとしても避けたい。 だから「日銀が買い支えるのでチャンスだ、日銀を追い込んで儲けてやれ」と2022年6月には円に売りを仕掛け、2023年1月には国債に売りを仕掛けた。 しかし
岸田首相は13日、バイデン大統領と首脳会談を行う(写真:Andre Malerba/Bloomberg) 岸田文雄首相は1月13日、アメリカの首都ワシントンを訪問し、ジョー・バイデン大統領と日米首脳会談を行う。日本の新首相によるアメリカ訪問は通常、就任後すぐに行われるが、岸田首相の場合、なかなか訪問する機会がなかった。 昨年11月にカンボジアで開催された東アジア首脳会議の際にも首脳会談を行っており、バイデン政権と岸田内閣間ではほぼ絶え間なく接触が続いている。しかし、ホワイトハウスを訪問するということは通常、緊密な同盟国であることを意味する。バイデン政権は日本における岸田首相のリーダーシップが不安定であることを十分承知しており、そのイメージを改善することに躍起になっている。 バイデン政権が発表した異例の声明 岸田首相にとって、今回の訪米は正念場である。首相はイギリス、フランス、イタリア、カナ
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