和平交渉を拒否し、自国の利益を追求しているのは西側 チョムスキー「ロシアはウクライナでイラク戦争時の米国より人道的に戦っている」 2004年の米軍の攻撃によって破壊された自宅を見て泣くイラク人の少年。2023年に開戦から20周年を迎えたイラク戦争では、18万6000~21万人の民間人が亡くなったと推定される Photo by Scott Peterson/Getty Images
歴史人口学者・家族人類学者 エマニュエル・トッドさん(右)Emmanuel Todd 1951年、フランス生まれ。家族構造や人口動態などのデータで社会を分析、ソ連崩壊などを予見。近著に『トッド人類史入門 西洋の没落』/ジャーナリスト・池上 彰さん(いけがみ・あきら) 1950年、長野県生まれ。名城大学教授、東京工業大学特命教授。主な著書に『池上彰の「世界そこからですか!?」』など ウクライナ戦争の終わりが見えない。各国の思惑も絡むなか、注目すべきは「アメリカの凋落」だと指摘する歴史人口学者のエマニュエル・トッドさんと、ジャーナリストの池上彰さんが語り合った。AERA 2023年6月19日号の記事を紹介する。 【図版】上位15カ国の軍事費の推移はこちら * * * ウクライナ戦争が始まって1年3カ月余。ゼレンスキー大統領が「反転攻勢」の開始に言及するなど、依然として出口は見えない。 ロシ
どのような戦争であっても、国家間の対立において「一方のみが100%悪い」というケースは稀でしょう。足元で続いている「ウクライナ・ロシア戦争」についても同様で、アメリカシカゴ大学のミアシャイマー教授は「この戦争が起きた原因は、アメリカとNATOにある」といいます。それぞれの国がもつ思惑、戦争という悲劇が起きた背景について、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が解説します。 前大統領が合意した「ミンスク合意」を反故にした理由 ドイツのメルケル首相やフランスのオランド大統領が介入する中、2014年9月、15年2月の二度にわたってロシアとウクライナの間でミンスク合意が結ばれた。 親ロシア派武装勢力が実効支配しているウクライナ東部について、特別の統治を認めるよう憲法改正を実施する。OSCE(欧州安全保障協力機構)の代表が見守る中で自由選挙を行い、東部地域の統治形態を決める。 ポロシェンコ前大統領はこう
Photographers: Salwan Georges/The Washington Post/Getty Images, Wojciech Grzedzinski/The Washington Post/Getty Images, Evgeniy Maloletka/AP, Chris McGrath/Getty Images, Ivor Prickett/The New York Times/Redux ロシアは2022年2月24日にウクライナに侵攻。欧州では第2次世界大戦後で最大規模の軍事攻撃となり、これまでに多くの犠牲者が出ているほか、さらに多くの人が故郷を失った。冷戦後の地政学的秩序と世界の市場も揺るがしている。 ウクライナ軍は軍事大国のロシアを相手に徹底抗戦を続け、秋に反撃に転じると、当初奪われた領土の5分の1を取り戻した。 過去1年間に起きた主な出来事を時系列でまとめた。
ウクライナの首都キーウ(キエフ)北西部の町で立ち上る煙=2022年2月24日【AFP時事】 ロシアがウクライナへ軍事侵攻を開始してから8カ月あまり。多数の犠牲者が出て、核兵器使用の可能性すら取り沙汰される状況に、プーチン大統領に対する国際社会の非難は収まらない。 そんな中にあっても、ウクライナや米欧諸国の側にも問題があるとの主張を譲らず、「けんか両成敗」の立場で早期停戦を説くのが日本維新の会の鈴木宗男参院議員だ。北方領土交渉にも深く関わってきた鈴木氏に、一連の経過や今後の対ロ関係について改めて詳しく聞いてみた。(時事通信政治部 古川夏月) 【政界Web】前回は⇒「GoTo」異説、前政権評価の声も トラベル事業で感染助長せず? 【目次】 ◇プーチン視点では ◇日本メディアにも問題 ◇77年前の悲劇想起を ◇正しかった安倍外交 ◇空疎な「4島返還」論 ◇「遠くの親戚より近くの他人」 ◇バラン
つい最近までインフレを起こしたいといって悩んでいた人々が、今度はインフレだと騒ぎ始めている。長い間デフレ不況が続く中、インフレターゲット論が浮上し、アベノミクスはインフレによる経済成長を目論んだが、それはある意味当然であった。しかし、インフレはまったく起きなかった。 にもかかわらず、今になってインフレがひたひたと押し寄せ始めている。それもたんなるインフレではない。ハイパーインフレーションになるかもしれない危機的インフレである。 ハイパーインフレ到来の可能性 ハイパーインフレーションとは、物価の上昇に歯止めがかからなくなる現象だ。私は1989年、当時のユーゴスラビアですさまじいインフレーションを経験した。一息吸うごとに物価が上昇するとは、こういうものなのかということを初めて知った。 自国紙幣の価値がどんどん落ちていき、どの店もほぼ自国紙幣を受け付けなくなり、外貨による支払いが優先されていった
なぜ日本は勝てない戦争に突入したのか 日本は、勝算の乏しい太平洋戦争になぜ突入したのか。これは、京都大学法学部教授を長く務めた国際政治学者の故・高坂正堯さんが唱えた「国際政治は3つの体系から成り立っている」という説を基に考えると、わかりやすいでしょう。ロングセラーになっている著書『国際政治 恐怖と希望』(中公新書)にくわしく書かれています。 3つの体系とは、価値の体系、利益の体系、力の体系。国際関係は、この3つの体系が複雑に絡み合っているのです。高坂さんは、〈国家間の平和の問題を困難なものとしているのは、それがこの三つのレベルの複合物だということなのである。しかし、昔から平和について論ずるとき、人びとはその一つのレベルだけに目をそそいできた〉と書いています。 古今の戦争も、この3つの体系のバランスから読み解くことができます。 太平洋戦争は、力の体系から見れば、完全に無謀でした。利益の体系か
戦闘終結の糸口はなかなか見いだせない。写真はロシアのミサイルで攻撃を受けたウクライナ南部のオデーサ港(写真提供:Press service of the Joint Forces of the South Defence/ロイター/アフロ) ロシアがウクライナに侵攻し5カ月が経過した。今回の軍事衝突の裏で、米国の保守系シンクタンク、ランド研究所の報告書が米政権の戦略に影響を与えたと指摘する声がある。だが、事態がここに至ったのは米欧の戦略ミスである。ランド研究所の提言を読み解いてみよう。 (杉山 大志:キヤノングローバル戦略研究所研究主幹) 敵を「拡張」させて疲弊させる 「今般のウクライナでの戦争は、ランド研究所の報告書に基づき、米国がロシア弱体化を狙って仕掛けたもので、台湾においても同様な戦略を取って中国をけしかけ弱体化を図る可能性がある」という言説がある。ネット上で容易に記事がいくつか見
プーチンが仕掛けた金融戦争 プーチンの金融戦争の中核はこれだ。これを実現させてはならない。以下、海外の報道を翻訳して紹介します。 イラン外務相は6月27日に「イランはBRICSに正式加盟申請を提出する」と公式に発表した。 イラン外務省報道担当官は「BRICSは多くの分野で非常に建設的な機能を持っている」と語った。 既に外務省は、加盟申請に関しての打ち合わせをBRICSと行っているとの事。 イランの加盟が実現すれば、BRICSは全世界のGDPの30%を占め、世界人口の40%を占める規模となり、その分 価値が増えるだろうとも語った。 24日 イランのEbrahim Rais大統領は、中国主催のBRICSのバーチャルサミットで、同国がBRICS内で果たせる役割、発揮できる能力や可能性について演説した。 イランだけでなく、アルゼンチンのAlbertoFernandez大統領も、既にBRICS加盟申
元米国防長官がロシアによるウクライナでの戦争を痛烈に非難した/Alexander Zemlianichenko/AFP/Getty Images (CNN) マティス元米国防長官は1日、韓国の首都ソウルで行われた会合でウクライナ情勢に触れ、ロシアによる戦争を「非道」「作戦上おろか」と批判した。 マティス氏は「米国には『同盟国がある国は繁栄し、ない国は衰退する』との格言がある」と紹介したうえで、「我々はいまロシアの衰退を目の当たりにしている」と断じた。 ここまでの戦況から引き出せる軍事的教訓は何かとの質問に対しては、「一つには、無能な将官に作戦を指揮させてはならないということだ」と指摘した。 さらに、ロシア軍の戦いぶりを「哀れ」と形容。ウクライナでの軍事行動は「非道かつ戦術的に無能、作戦上おろかであり、戦略的にばかげている」とこき下ろした。 マティス氏はロシアを「諸国家の共同体」に引き入れよ
2022年6月24日 田中 宇 今回のウクライナ戦争の、私にとって理解困難な謎の一つに「なぜロシアは2月24日の開戦時に、異様に大規模な全面戦争をいきなり始めたのか」というのがある。ロシアが今のウクライナ戦争で達成したいことは、ウクライナの極右政府や軍が東部2州(ドンバス)のロシア系住民をいじめたり殺したりしていたのをやめさせることだ。開戦前、ロシアの政府や軍は、ドンバスを助けるために軍事的なことをほとんどしていなかった。ロシアの軍や諜報機関の要員たちが私服でロシアからドンバスに越境して露系民兵団の顧問をしていただけだ。露軍はドンバスに入っていなかったし、兵器の支援もしていなかった(民兵団はウクライナ軍からの転向者が持ってきた兵器で戦っていた)。次の段階として、露軍がドンバスを助けるなら、まず兵器を越境支援するとか、露軍がウクライナ全土でなくドンバスだけに侵攻するといった展開が予測された。
ロシアでのビジネスから撤退=日本企業の「脱ロシア」の動きが止まった。2022年2月時点でロシアへの進出が判明した国内上場企業168社のうち、6月19日までにロシア事業の停止や制限・撤退を発表・公開した企業は前月から3社増え、全体の4割に当たる74社が判明した。4月時点でゼロだったロシアからの完全撤退を表明した企業は、新たに1社判明した。一方、受注残といった理由や、ロシア国内での新規事業の投資負担から現地事業を当面継続する企業も判明した。 ロシア事業の停止・撤退を巡っては、3月時点で全体に占める割合は22%だったものの、4月時点では36%に急増。3~4月にかけて、ロシアに進出する主要な日本企業でロシア事業の停止や撤退といった「脱ロシア」の動きが相次いだ。その後も脱ロシアの動きが加速するとみられたが、5月時点でロシア事業の停止を表明した企業は前月から11社の増加にとどまり、4月時点の増加数(+
日本企業「脱ロシア」後退 ロシア事業撤退、主要国で最低水準 ~ ロシア事業停止は4割止まり、撤退続く欧米との温度差鮮明 ~ はじめに 帝国データバンクが米エール経営大学院の集計をもとに、各国の「ロシア事業撤退(Withdrawal)」の割合を分析したところ、全世界の主要企業約1300社のうち24%に当たる300社超がロシア事業撤退を表明したことが分かった。ポーランドやフィンランドのほか、主要国では英国で半数の企業がロシアから撤退、米国企業も約3割がロシア事業から撤退しており、これらの国では早期の段階で「脱ロシア」の動きが進んでいた。ウクライナ侵攻に国際社会の非難が集まるなか、欧米企業ではロシア撤退を求める圧力が強まり、米マクドナルドや仏ルノー、当初事業を継続してきた米スターバックスなども撤退を決断するなど脱ロシアの動きが加速している。 一方、日本企業の事業撤退割合は帝国データバンクの調査で
(Gold Institute for International Strategyでの私のスピーチ6/15/2022) ウクライナ戦争は2023年12月末に終わる 新型コロナはすでに終息 インフレは本年10月 ドル・円は10月上旬から円高110円 上記はNYのthe Union LeagueでのGold Institute主催のコンファレンスで私のスピーチで述べたことである。 インフレが10月に終わるのはコロナ終息でサプライチェーン問題は回復に向かっており、需給関係が好転してきたからである。 価格操作で釣り上げられている原油価格は下げ始め、10月には正常の1バーレル60ドルに戻る。 アメリカの国民の頭の上にコロナ支援の名目で空から降ってきたドル札200兆円が溜まっていたが、このところマスク不要、集会自由の正常な生活に戻ったのでうっぷん晴らしで値段が高いのは承知の上で使いまくった。 ところ
北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長。ベルギー・ブリュッセルにて(2022年6月15日撮影)。(c)Valeria Mongelli / AFP 【6月19日 AFP】北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は、独紙ビルト(Bild)に19日に掲載されたインタビューで、ウクライナでの戦争は「数年間続く」恐れがあると警告した。 ストルテンベルグ氏は、「数年間続くことをわれわれは覚悟しなければならない」とし、「たとえコストが高くついたとしても、ウクライナへの支援を弱めてはならない。軍事支援だけでなく、エネルギーや食料の価格高騰についてもだ」と述べた。(c)AFP
ロシアのウクライナ侵攻後すぐにウクライナ支援に動いた欧米諸国の結束が試練に直面している。戦争が始まって3カ月が経過した今、この先の方針を巡って足並みの乱れが見えるからだ。写真はキーウ近郊イルピンで9日、破壊された建物を見る人(2022年 ロイター/Marko Djurica) [パリ/ベルリン/ワシントン 13日 ロイター] - ロシアのウクライナ侵攻後すぐにウクライナ支援に動いた欧米諸国の結束が試練に直面している。戦争が始まって3カ月が経過した今、この先の方針を巡って足並みの乱れが見えるからだ。 ロイターが政府高官や外交当局者の話を聞いた結果、「ロシアのプーチン大統領と対話を続けるのと孤立させるのはどちらが得策か」「ウクライナは戦争終結のため譲歩すべきか」「自国の人々に痛みを背負わせてまで対ロシア制裁を続けるのか」といった問題で、各国に「温度差」があることが分かった。 欧米は物価全般とエ
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