日本銀行は次の一手-金融引き締め-に向けて、市場とのコミュニケーションを改善させる方向に舵(かじ)を切ったようだ。黒田東彦総裁は10日、長期金利が1%上昇した場合、日銀保有の長期国債の評価損は23兆円に達するとの見方を示す一方、年間約80兆円の保有残高増加をめどとして行っている長期国債の買い入れは、直近では年額換算60兆円前後のペースになっていると認めた。これは日銀が直ちに政策やガイドラインの変更をすることを示唆するものではない。しかし、これまで出口政策について「時期尚早」とのコメントを繰り返していた黒田総裁の姿勢を考慮すると、出口に向けてのコミュニケーション改善の糸口になると見なせるだろう。 日銀の国債保有残高は、17年3月末時点で約370兆円に達する。これは、国債の発行残高の40%強、日本のGDPの80%程度に相当する。同時点での日銀保有国債の平均残存期間を保守的に7年と仮定すると、ブ