たたら製鉄と地域の風土のストーリー 島根県安来市、奥出雲町、雲南市が共同で文化庁に申請していた「出雲國たたら風土記 鉄づくり千年が生んだ物語」が2016年4月25日、日本遺産に認定された。いにしえの製鉄技術が今再び脚光を浴びているのは、この地域で今もなお、たたらが育んだ固有の文化が連綿と続いているからにほかならない。景観、食、暮らし…現代の私たちがこの地域を訪れて、見て、食べて、体験するものごとと、たたらとの関わりを知れば、安来市と奥出雲町、雲南市の旅はぐっと深く味わい深いものになる。 たたら製鉄は1400年前以上から続く、日本古来の製鉄技術。その技術には自然環境や文化、人々の暮らしなど多くのものが関わり成り立ってきた。現在は、奥出雲町の日刀保たたらで世界唯一の、たたらの炎が燃え続けているだけだが、2市1町には地域の営みとして「たたら文化」が息づく。 この地域の特産品の一つ「仁多米」。田ん