「デジタル敗戦国」を返上する前提となるマイナンバーカードに不信の目が向けられている。続発するヒューマンエラーに足をすくわれ、メリットが思うように国民に響かない。この難局を乗り越えなければ、日本はデジタル化の出遅れをいつまでも取り戻せない。 岸田文雄首相に近い自民党のベテラン議員は8月18日昼、複数の厚生労働省幹部に相次いで電話をかけ、こう告げたという。 岸田首相が現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針を当面維持する考えを示したのは8月4日。そのわずか4日後、マイナンバー情報総点検本部が公表した中間報告で、マイナ保険証に別人の情報が登録されたミスが計8441件に増えたことが明らかになった。 主な内容はこうだ。健康保険組合などの保険者は、加入者のマイナンバーを取得するためシステムに照合する。その際、氏名と住所、性別、生年月日を確認しなければならないが、住所を