連載「続・17人殺傷の衝撃」 上 / 中 / 下 ◇ 10月6日午後2時半。 加藤智大(ともひろ)被告(26)は3カ月ぶりに東京・秋葉原にある警視庁万世橋署に戻った。無造作だった髪は切りそろえられ、規則正しい生活のせいか、犯行時より肉付きがよくなっているように見えた。 この間、精神鑑定を受けていた加藤被告は東京都内の留置施設で、他の留置人とは離れた4畳あまりの一室で、読書をするなどして静かに過ごしたという。 被告に接した関係者はこう感想を漏らす。 「あれだけの事件を起こしたと思えないほど落ち着いている。それが異常と言えば異常なんだろうけど…」 検察が起訴前に本格的な精神鑑定を実施したのは、公判で責任能力が最大の争点になる可能性が高いことに加え、家族や仕事への不満など複雑に絡み合う動機の解明も期待したもようだ。 東京・渋谷で元予備校生の武藤勇貴被告(23)が妹を殺害