電池最大手CATLの創業者が電池を超えた野望を語った 中国の電池王が語る「トヨタが開発する全固体電池はまだ現実的ではない」 中国の電池王CATLのゼンCEOが開発を急ぐ電池とは? Photo by Paul Zinken / picture alliance / Getty Images
AI技術の急速な進展は歴史を一気に進める革命的出来事だといわれる。しかし歴史家のニーアル・ファーガソンは、現在の私たちの対応こそが歴史を決めると主張する。 AIの進化を前に、私たちはどう対応すればよいのか。そのヒントを得るために、彼は6つの問いと、歴史に即したその答えを提示する。 小説家、ニール・スティーヴンスンの先見の明には、ただただ驚くばかりだ。彼のSF小説『ダイヤモンド・エイジ』(1995)は、高度に技術が進歩した世界が舞台となっている。ナノテクノロジーが遍在することに加え、妙になじみのある「P.I.」なるものが登場する。この略語については、以下の会話で説明されている。 「私はエンジニアでして(中略)たまたま今回のプロジェクトに、部分的に関わっておりまして」 「どのような部分を?」 「PIに関するものです。ほとんどが」とハックワースは言った。フィンクル=マグロウほどの人物なら、こうい
軍民融合に生じた「重要な変更」 2023年3月、人民解放軍の指揮官らの前に習近平国家主席が姿を見せると、西側諸国はこの動きに注目した。 ダークグリーンの人民服に身を包んだ習は、中国の「自立自強」を確立する必要があると述べ、中核となる技術を自国で育成する「自主創新」に照準を合わせた科学技術のイノベーションに力を入れるよう求めた。 習が経済成長よりも安全保障を重視する政策をとれば、長期的にみてリスクになると考える専門家もいる。また、共産党に堅固な権力基盤を持たない研究者を重用することにより、習が将来の反発の芽を摘みとろうとしていると見る向きもある。 一方、軍事費の増加や政府上層部における異例の人事、政策に対する監督を強める一連の習の姿勢は、軍民融合政策に「重要な変更」が生じている証だという指摘もある。 米戦略情報スタートアップ「ストライダー」の共同設立者グレッグ・レヴェクは言う。 「今回の人事
『国家はなぜ衰退するのか:権力・繁栄・貧困の起源』などで知られる、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学教授ダロン・アセモグル。トルコ出身の彼は、新たな共著『パワー・アンド・プログレス』(未邦訳)で、数多くの技術革新が多くの人を苦しめてきたことを明らかにした。 生成AIという新たな技術の出現で、仕事を失う人が増えることが想定されるいま、父親がトルコ系という、英紙「フィナンシャル・タイムズ」の記者が、アセモグルと一緒に昼食をとりながら話を聞いた。 午前11時というのは、ランチには早すぎる時間だ。しかし、米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学教授、ダロン・アセモグルは効率性を追求する人物だ。 彼のオフィス近くで、私たちは早めに会うことになった。そうすれば、ランチ後すぐに彼が新著に関するポッドキャストの録音に出かけられるからだ。私たちがランチを取った中国・湖南料理のレストラン「スミナ
オープンAI社が開発した言語モデル「ChatGPT-4」が、日本でも3月15日に有料で一般公開された。 その前身にあたる「GPT-3.5」や「GPT-3」の可能性については、これまでにも多く語られてきたが、新しいGPT-4は、結局のところ何が違うのだろうか? そして、それは私たちにとってより良い未来をもたらしてくれるのだろうか──海外メディアの評価をまとめた。 ポジティブな評価 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、GPT-4の主要アップデート事項を3つ紹介している。 ▼試験の成績もアップ 米国司法試験の模擬試験では、GPT-4は上位10%のスコアを記録している(ちなみにGPT-3.5では下位10%だった)。SAT(米国の大学進学適正試験)においては、1410点(1600点満点)と多くの高校生が憧れるスコアを叩き出した。 ▼複雑なお願いごとも可能に ニューヨーク・タイムズのコラムニストであるケ
日本の回転寿司チェーン最大手「スシロー」の開発拠点に英紙が取材に入った。大阪のとある場所にひっそりたたずむ“秘密スタジオ”で記者が目にしたものとは──。 トップシークレット? 寿司のハイテク化の未来を拓く秘密は、大阪の裏通りにある何の変哲もないビルに潜んでいた。 中に入ると、空のプラスチックカップや、丸めたウェットペーパー(ホタテの重量と質感を再現している)が盛り付けられた皿がレーンの上を流れている。 一方、プラスチックの間仕切りの向こう側では、技術者がコンピュータ画面のデータをモニターしている。 2022年12月、本紙「オブザーバー」など少数の記者団は、日本の回転寿司産業をけん引するスシローの“開発スタジオ”にお邪魔した。めったにない機会を与えてもらったのだが、データを見ていた技術者たちの仕事の詳細については企業秘密とのことで教えてもらえなかった。 ただ確かなのは、このスタジオで、日本全
フランス料理などの高級食材として知られるきのこ、トリュフの人工栽培に国内で初めて成功したと森林総合研究所のグループが発表し、栽培技術の確立を目指したいとしています。 これは、茨城県つくば市にある森林総合研究所の山中高史研究統括者などのグループが発表しました。 現在流通しているトリュフはすべてが海外から輸入され、国内でも自生していますが、人工栽培の技術は確立していませんでした。 研究グループは、「コナラ」の苗木の根に、国内に自生する白トリュフの1種「ホンセイヨウショウロ」の菌を付けて植えることで、人工的にトリュフができるかどうか調べてきました。 2015年から研究を進めた結果、去年11月、茨城県と京都府の試験地で合わせて22個のトリュフができ、遺伝情報の解析から人工栽培によるものだと確認されたということです。 研究所によりますと、人工栽培はフランスなどでは行われていますが、国内では今回が初め
「第二の太陽」 直視は禁物だが、どうしても目に入ってしまう。イスラエルのネゲヴ砂漠の岩山やクレーターの間を車で走っていると、高さ243メートルを超える灰色の塔が発する鋭い光を見逃すことはないだろう。それは宇宙からでも見える。 これは、イスラエル国内でも類を見ない高さを誇る建造物、アシャリムのソーラー・タワーだ。 「第二の太陽」と最寄りの村の商店主が呼ぶこの塔は、イスラエルの技術革新の証であり、すばらしいテクノロジーの成果であると支持者は言う。しかし、運用開始までに時代遅れになってしまった技術に頼る高価な失敗作だと批判する人もいる。 いずれにしても、アシャリム村の約750人の住民にとって、この塔は、生活の背景として常にそこにある。不満の種になることもあれば、畏敬の念を抱いたり、誇りに思ったりすることもある。 ときにはディストピアの超高層ビルのように、道の向こうの酪農家の牛やニワトリを見下ろし
現代社会の疲弊 ピーター・ティールは、革新陣営からは、まるでファンタジー物語に登場する悪魔のように描かれる。そして一般的には、シリコンバレーの生ける伝説として知られる。ペイパルの共同創設者であり、フェイスブックの最初の外部投資家でもある(同社の取締役を2005年から22年まで務めた)。 また、自身のベンチャーキャピタル「ファウンダーズ・ファンド」を通じて新興企業に投資してきたほか、ビッグデータ企業「パランティア」の創設者ともなった。パランティアは2016年、米陸軍を相手取って情報分析システムの調達プロセスに関する訴訟を起こし、その結果、米軍に自社の情報分析システムを供給する契約を勝ちとった会社である。ティールの総資産は49億ドル(約7000億円)と推定される。 ティールは文化や政治に強い関心があることでも有名だ(「有名」より「悪名高い」と書くほうが適切だと言う政治傾向の人もいる)。さまざま
技術リーダーとしての日本の存在感が世界で薄れていると言われて久しい。しかし、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、最近日本企業が世界で初めて実現・実用化した「ハイテク」技術の革新性について注目している。 日本が実現した大型船舶の完全自立航行 先日の朝、三浦半島の先端にある崖の上から、船橋港に向かう内航コンテナ船「みかげ」が東京湾に入っていくのを見た。船体は度重なる航海で汚れて見苦しかったが、これほどわくわくする船は他にない。 あなたは、革新的な機器が好きで、でも船底などに付着して離れないフジツボのような存在にも魅力を感じるような人物だろうか。さらに「ハイテク」を定義できるのはシリコンバレーだけではないと思うなら、この「みかげ」はまさに打って付けだ。 全長約95メートルのこの船は、2012年1月、敦賀港から堺港までの約270kmの無人航海を2日かけて実現した。これは、この規模の商船としては初め
世界中のどの業界も、温室効果ガスの排出量を削減すべく必死になっている。海運業界ではいま、クリーンな風力を利用して大型商船を動かす技術が導入されはじめている。米経済誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」がその最前線を取材した。 紀元前3500年頃、エジプトの船乗りたちが、葦を編んで船上に吊り下げて風をとらえ、ナイル川を運航した。これが最初の帆船の発明であり、そのおかげで海上貿易ができるようになった。 さて、現代の船主たちがこの古代の技術を応用し、温室効果ガスの排出という、じつに21世紀的な課題に取り組んでいる。海運業の大手数社が風力を活用すべく、大型船を改造または新たに設計して、汚染ゼロの目標と排出量の基準をクリアしようとしているのだ。 貨物船を引っ張る巨大な凧から、膨張式の帆、揚力を生み出すローターに至るまで、風力を駆使した商船へ移行する動きにより、そうした大型船の数は2023年までに倍増
アメリカという「現代のバベル」 崩壊後のバベルに生きるというのはどんなものだろう? 創世記には、ノアの子孫たちがシナルの地に巨大な都市を建設したと記されている。彼らは自身らの「名を高めるため」に、「頂上は天まで届く」塔を建てた。神は人間の傲慢に腹を立てて言った。 「見よ。彼らは一つの民であり、一つの言葉だけをもつ。そしてこれは、これから彼らが為すことの始まりに過ぎないのだ。今や、彼らが為そうとすることで不可能なものはなくなった。さあ、下界に降り、彼らの言葉を乱そう。彼らが互いの言うことを理解できなくなるように」 聖書の本文に記述はないが、この物語の有名な解釈の多くでは、神が塔を破壊したことになっている。そこで、この劇的な場面を心に描いてみよう。人々は互いにコミュニケーションを取ることができず、互いの無理解を呪い、廃墟の中を彷徨うのだ。 このバベルの物語は、2010年代のアメリカで起きたこと
消えていく日本の企業たち オオハシ・トモユキは、神奈川県内にある自分の店の外に置かれたプラスチック製のベンチに座り、厨房の大型業務用冷凍庫を引き取りに来る業者のトラックを待っていた。もう、これで後戻りはできない。父親から店を引き継いで約35年、この先オオハシがまぐろ丼を客に出すことはもうない。 いよいよ最後の戸締まりの準備をしながら、オオハシは横浜近郊に住む息子に連絡を取ろうか思案していた。サラリーマンの息子は家業には興味がなかったが、大通りにある店の看板を撤去するのを手伝ってもらえるか聞こうかと思ったのだ。 「話をするのも、なかなか難しくてね」とオオハシは言う。ここ数年、息子とその妻との会話は口論になりがちだった。74歳のオオハシは、日本を世界第3位の経済大国へと押し上げる原動力となった世代の人間だ。そして引退の時期を迎えた彼らがいま、再び国の形を変えようとしている。 2022年、後継者
少子化の新たな打開策? 中国の研究者が、人工子宮内で成長する人間の胚をモニタリング、およびケアするための「ロボット乳母」を開発したと、1月31日、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。 江蘇省東部にある蘇州医用生体工学研究所の研究者らが開発したのは、人工子宮内の胎芽(妊娠8週未満の胎児)を詳細に観察、記録し、二酸化炭素や栄養分、人工子宮内の環境などを自動で調整する人工知能システムだ。このシステムはまた、健康状態や発達の可能性をもとに、胎芽を「ランク付け」することもできるという。 この研究は12月、中国国内の学術誌「ジャーナル・オブ・バイオメディカル・エンジニアリング」で発表された。論文によれば、このシステムを使うことによって、胎児は女性の子宮よりも安全かつ効率的に成長することができる。このシステムはすでに、動物の胎芽を数多く育てているという。 2021年、中国の出生率は建
「アマゾンがあれほどの成功をおさめたのはなぜか」という質問をよく受ける。数年前、ビル・ゲイツが始めたマイクロソフトの年次CEOサミットに出席した欧州大手保険会社の最高経営責任者(CEO)が自社の取締役である友人を介して、私に会いたいと連絡を寄こした。 彼は私に会うと、「アマゾンが成功した秘密は何か」と聞いてきた。そこで私はいつものように、「アマゾンには秘密にしている経営理念などありません」と答えた。 アマゾンの経営理念は、創業者ジェフ・ベゾスが「全社会議」のたびに話題にしている。公開記者会見でも説明しているし、プレスリリースの末尾にも必ず記載されている。ただ、私はこう続けた。経営理念とはどんなときでも常に従うべきものだが、大半の企業はそうすることに消極的か、それができていないのだ、と。 ①顧客最優先 アマゾンが何よりも重視しているのは、顧客最優先という理念だ。ベゾスに言わせれば、世の中には
新型コロナウイルス・ワクチンが驚異的な速さで開発され普及したことは、科学技術には世界を変える力があることを再認識させるものだった。新しいmRNA技術に基づくワクチンは瞬く間に作られたように見えるが、実際には1970年代までさかのぼる数十年にわたる研究成果によるものだ。テクノロジー業界で言われているように、一夜にして成功を収めるには、何年もかかる。 では、次はどんな新技術が飛び出してくるのだろう? 2022年に注目しておくべき22の新テクノロジーを紹介しよう。 太陽ジオエンジニアリング 幼稚っぽいほど単純に聞こえるアイデアだ。世界が暑くなりすぎているのなら、日陰を作ってあげたらどうだろう? 火山が高層大気に放出する塵や灰は、冷却効果があることで知られている。たとえば、1991年のピナツボ山の噴火は、4年間で0.5℃も地球の気温を下げた。「太陽放射管理」の呼び名でも知られるジオエンジニアリング
アケメネス朝ペルシアやローマ帝国、漢王朝などの古代巨大帝国が生まれ、繁栄した要因は、その人口や統治機構などといった国家それ自体の性質ではなく、馬の操作性を向上させたあるイノベーションだった──進化人類学者のピーター・ターチンが、人類の膨大な歴史をデータで紐解く手法とともに解説する。 イノベーションの波が地球全土の人間社会に押し寄せ始めたのは、およそ3000年前のことだ。それからの1000年間で次から次へと新しいテクノロジーが現れ、それらは人間の歴史に劇的な変化をもたらすこととなった。 この時代には、ハミと頭絡(とうらく)によって馬を操る技術が向上し、鉄の加工技術がユーラシア全土に広まった。それにより、頑丈で安い武器や防具の製作が可能になり、クロスボウやカタパルトのような、遠距離から殺傷する新しい方法が登場したことがわかっている。全体として、戦争でより多くの死者が出るようになったのだ。
デジタル庁は2021年10月、政府や地方自治体が共通で使う「ガバメントクラウド」の調達先として、米Amazon Web Services(AWS)と米Googleの2社を選定した。第1段となる調達からは、デジタル庁が進めるIT調達改革の意欲が伝わる。 標準的なパブリッククラウドを価格重視で選べるようにしながら、性能や技術基準は妥協しない。先進技術を積極に取り込んでいく姿勢も鮮明にした。国産勢など、企業や行政の個別ニーズに応えたプライベートクラウドを強みとするベンダーには参入への高いハードルが課された。 デジタル庁はAWSのコピーが欲しいのか 一方で調達手法に課題も残した。調達先に求めた約350もの技術的要件には、単に規模の大きさを求めたような必然性が見えにくい要件が多く混在しているからだ。業界リーダーであるAWSなどの現仕様をそのまま複製したように見える要件もある。 自動翻訳や音声認識など
アメリカではアマゾンがヘルスケア事業に次々と参入し、医療サービスを提供しはじめている。圧倒的な規模とインフラを持つ同社の存在感が高まればヘルスケアの形は変わり、既存の体制も破壊しうる──英経済紙がアマゾンのヘルスケア事業の動きとリスクについて追った。 医療現場で活用されるアマゾンの音声アシスタント 「音楽をかけて」とか「パスタを茹でるのに11分のタイマーをセットして」など、何百万もの人々が、日々、雑事をアマゾン社の音声アシスタントに指示する。一方、これとまったく同じテクノロジーが、アメリカのヒューストン・メソジスト病院でも使われている。ここで音声アシスタントに告げられるのは「手術を始めよう」などだ。 同病院はアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)と提携し、音声アシスタント「アレクサ」に搭載されたのとほとんど同じ技術を用い、音声認識システムを8つの病院の手術室に設置した。 この音声アシスタント
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