世界のコミック・漫画市場で支配的なのは、米国のコミックと日本の漫画だ。それはアフリカでも変わらない。 しかし、世代を超えて愛されるコミックというメディアに、自分の国のキャラクターや、自分の国の話、アフリカの歴史や文化が登場しないのは残念だ。若い世代に自分たちの物語が受け継がれずに、忘れ去られてしまうおそれもある──そう考えたアフリカのクリエイターたちがいま、自分たちのコンテンツを作りはじめている。 彼らはまた、現在の米国や日本のコンテンツがそうであるように、アフリカ発のコンテンツを世界に広めることも目指す。 アフリカの歴史や文化を盛り込んだオリジナルの物語を語る、アフリカン・コミックの勢いに、世界も注目しはじめている。 自分たちのヒーローがいなかった 20世紀末、エチオピアの首都アディスアベバで唯一手に入るコミックといえば、アメリカのスーパーヒーローものだった。それを読んで育ったベセラート