人がクマに襲われるケースが、各地で相次いでいる。 環境省によると、今年4~9月に被害に遭った人は全国で計109人と、過去最多だった。今月も被害の報告が続いている。 北海道のヒグマ、本州から南のツキノワグマともに生息域を急速に広げている。今年はエサとなる木の実の生育が悪く、冬眠前に食べ物を求めて里へ近づくクマが増加すると指摘されていた。 背景には、農山村の人口減と狩猟者の高齢化がある。 クマはもともと臆病な性格で、人を恐れる。以前は、山と里の間に整備された田畑や雑木林などがあり、人家との緩衝地帯となっていた。ところが、地方の人口が減り、耕作放棄地や手入れの行き届かない里山が増えた。狩猟も盛んでなくなり、「人は怖い」と知る機会が失われている。 クマの生息数も右肩上がりだ。専門家によると、増加率は年10~20%に上っている。増えすぎた結果、山のエサが恒常的に不足する地域が生じている。 被害を防ぐ
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