与野党間の政治的駆け引きで信頼を損ねただけではないか。 米国が国債を償還できなくなる「デフォルト」の危機を辛うじて回避した。政府の借金限度額を定めた「債務上限」の効力を2年間停止する法律を成立させ、償還資金をようやく確保した。 米国債は世界で最も安全な資産とされ、日本など各国の政府や金融機関が大量に保有する。デフォルトに陥れば、リーマン・ショックの再来となる恐れがあった。 土壇場までもつれたのは、来年の大統領選をにらんだ政争が激しくなったためだ。 予算に多くの目玉政策を盛り込んだバイデン大統領は無条件の債務上限引き上げを求めた。一方、野党・共和党は大幅な歳出削減を要求し、トランプ前大統領は「削減を約束しないならデフォルトもやむを得ない」と言い放った。 与党・民主党からは、議会の承認手続きを省く強硬論まで飛び出し、対立がエスカレートした。 世界経済を「人質」にして、互いに一歩も譲らないチキン