中国の習近平国家主席が巨大経済圏構想「一帯一路」を提唱して10年を迎えた。インフラ整備で一定の成果を上げたが、過剰な融資や汚職の横行といった弊害も指摘されている。 古代の交易ルートにちなんだ陸路と海路のシルクロード経済圏構想が一帯一路の原形だ。対象地域はユーラシア大陸からアフリカ、中南米などへと拡大した。 中国政府によると、152カ国と32の国際機関が参加している。道路や鉄道、港湾の整備などに対する投資額は2700億ドル(約40兆3000億円)を超えた。現地で約42万人の雇用を創出し、貧困撲滅にも貢献しているという。 経済連携の強化が本来の目的だが、政治的な影響力の拡大にもつながっている。国連人権理事会で日米欧などが中国の人権状況を懸念する共同声明を発表すると、一帯一路のメンバーを中心とする国々が中国擁護の声明を出して対抗する構図となっている。 問題点も多い。途上国が借金漬けになって身動き