正規とは異なる「裏」の医療用医薬品流通ルートで出回ったことが明らかになったC型肝炎治療薬ハーボニーの偽造品。横流し品など素性のはっきりしない製品の流通を放置することは、健康を脅かす偽造品が紛れ込む余地を広め、医薬品の高額化が進む先進国が偽造グループに狙われる恐れを高めている。 「医薬品 高価買取」。古い店舗や住宅が密集する東京都千代田区のJR神田駅前に、こうした看板を掲げる「現金問屋」が十数軒並ぶ一角がある。厚生労働省によると、ハーボニーの偽造品が最初に持ち込まれたのが、この問屋街だった。 神田生まれという地元の不動産業者によると、第二次大戦後、進駐軍から横流しされたペニシリンや日本軍が使っていたヒロポン(覚醒剤)を売り買いする業者が集まったのが由来という。メーカーや卸業者の規模が小さかった時代は、在庫の調整やすぐ現金化して資金繰りを助ける役割を果たしていた。しかし、今は余った薬や横流し品