今週の『週刊東洋経済』(2009年10月24日号(第6229号))に、山口二郎のコラム「党派性を出すことで言論者の責任も明確に」が掲載されている。同記事には社会科学と現実とのかかわりについての山口の認識が顕著に現れているので、多少詳しく採り上げたい。 山口は、9月24日付の『朝日新聞』朝刊に掲載されたという小林慶一郎の記事を槍玉に挙げ、小林が「2005年の総選挙で小泉改革を支持した民意は、09年選挙でも持続していると主張し、民主党政権に対して経済的自由を尊重せよと提言」していることを批判する。 小林氏の議論を読むにつけ、日本の言論界における最大の党派は「権力党」であることを痛感させられる。たとえばアメリカで新自由主義に基づく小さな政府をあおった学者が、オバマ政権に対しても同じように小さな政府を提言するなどということはありえない。政権交代が起これば、政策をアドバイスする学者も入れ替わるのが当