上智大学で最後の講義に臨んだ竹田陽介教授 優雅なバイオリンの生演奏から始まる経済学講義は初めてだった。しかも、その奏者はこれから講義を始める教授の愛娘……。 上智大学の竹田陽介教授が3月9日、最後の講義を行った。「おっと、危ないですね」。直後、うつむき言葉に詰まる。教室にはご家族や大学の同期、教え子らが駆けつけている。教壇に立ち懐かしい顔を見た瞬間、いろいろな思いが脳裏をよぎったか。涙腺崩壊を思わせたが、そこは踏みとどまり自身の生い立ちから恩師、経済学者としての半生をその時々の写真をモニターに映しながら語る、少し変わった経済学講義が始まった。 宇沢弘文と浜田宏一 小学校は4回、中学校は2回、転校したという。だから「友だちができるわけがない。引っ込み思案な子どもだった」と振り返る。心配した母親が演劇でもやらせれば、変わるかもしれないと劇団に入れようとしたほどだった。 経済学者に進むきっかけは