慶應義塾大学メディアセンターは2023年10月に『慶應義塾図書館史Ⅱ』(以下、『図書館史Ⅱ』とする)を発行した。編集委員の1人として編纂への思いを述べつつ、紙面をお借りして本書を紹介させていただきたい。 慶應義塾の図書館の来し方を語るものとして、そのルーツを幕末まで遡って紐解くところから1970(昭和45)年までの主に三田の歴史をまとめた『慶應義塾図書館史』(以下、便宜的に『図書館史Ⅰ』とする)が1972年に刊行されている。先達の図書館に対する気概や努力を今に伝える貴重な史料である。そしてこのたび発行した『図書館史Ⅱ』はⅡという数字が示すとおり、それを継ぐものとして、1970年度から2019(令和元)年度までの50年間の歩みを全キャンパスの図書館に広げて振り返り記録したものである。 『図書館史Ⅰ』の序において、当時の図書館長であった高鳥正夫法学部教授は「図書館長に選任されてから、私は図書館