ここは兵隊寺とも言われ、本堂には日露戦争に出征して亡くなった方の霊を弔うために一体一体木製の人形が安置されている場所なのである。 今年度、卒論で「兵隊木像の成立と地域社会-静岡県藤枝市の常昌院を事例に-」という論文を書いた学生がおり、私は副査に入ったので初めてこのお寺のことを知った。 学生が執筆にあたって夏からこちらのお寺を訪問し、さらにご住職から史料をお借りしたので、その返却に行くという学生から誘われたのでついていくことにしたのだった。 古文書返却の旅である。 常昌院はJR焼津駅からバスで20分ほどの場所にある。 山辺の道というハイキングコースの途中にあたるようで、看板を見て何だろうと思った方が訪れ、兵隊人形を見て驚くことも多いようだった。 兵隊人形の顔は、生前の写真を元に作成して、一体一体顔が違っている。学生は卒論で一人一人の名前を図に起こしたり、出身地を調べたり、同寺の文書も活用して