cakesは2022年8月31日に終了いたしました。 10年間の長きにわたり、ご愛読ありがとうございました。 2022年9月1日
2010年初冬──。 糸井重里はモントリオールを訪れました。 目的は、ひとつだけ。 シルク・ドゥ・ソレイユの本社で ジル・サンクロワに会うのです。 ジル・サンクロワは、 世界的なエンターテインメント集団、 シルク・ドゥ・ソレイユの創始者のひとり。 いまなお、シルク・ドゥ・ソレイユのショーにおける クリエイティビリティのカギを握っている人です。 ジル・サンクロワと糸井重里の関係は特別です。 ふたりは、これまで、3回しか会ってません。 しかも、そのうち1回は劇場で数分会っただけ。 ふたりがこれまでにことばを交わした時間は、 たかだか数時間、というところでしょう。 にもかかわらず、 ふたりの関係は強く、そして深い。 まるで幼なじみのように、 彼らは互いを信頼し合っています。 限られた時間のなかで ふたりが瞬時に理解し合ったことを、 当の糸井重里も 「なんでだろうなぁ」と不思議がります。 うーん、
いえ、ぼくが初めて被災地に入ったのは、 3月31日なんです。 「明日、ガソリンが実家に入るぞ」って 聞いたときなんですけど、 つまり、動きはじめも、そこからで。
以前、糸井重里は、 こんなふうに書いたことがあります。 「経済的に自立して持続している 『ユニークな人々』に ぼくの興味はあるわけです。 『おもしろい』ということと、 『食えてる』ということが両立してることが、 さらに希望のある 『おもしろい』につながるんだ」 自分たちも、そういう、 「経済的に自立していて、 おもしろい集団」でありたい。 そんな意味を込めて書いた文章の中で、 糸井重里は 「おもしろくて、自立してて、 食えてて、持続している」人々の 理想的な例をふたつ、挙げました。 ひとつは、シルク・ドゥ・ソレイユです。 いまや世界的に認知された 最高のエンターテインメント集団。 サーカスを芸術の域にまで高め、 世界中の人たちを魅了しているのは ご存じのとおりです。 そして、もうひとつが、 グレイトフル・デッドというロックバンド。 1960年代から活躍する古いバンドで、 チャートを賑わすよ
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