質の高い研究が重ねられ、新型コロナウイルス感染症への効果が否定された抗寄生虫薬のイベルメクチン。しかし今も一部で使い続けられている。内科医の名取宏さんは「もともと医療は不確実なもの。効果が証明されなければ使用をやめたらいい」という――。 抗寄生虫薬が万能薬と誤解された理由 以前、「抗寄生虫薬・イベルメクチンが、新型コロナウイルス感染症に著効を示す」という説が広まりました。イベルメクチンは、寄生虫を保持したブヨに繰り返し刺されることで感染する『オンコセルカ症(河川盲目症)』などの病気から多くの人を救い、開発者の大村智先生は2015年にノーベル生理学医学賞を受賞しています。 しかし、後で詳しく述べるように、質の高い臨床試験では新型コロナに対する効果を確認できませんでした。それでも今も一部に「イベルメクチンは新型コロナに効く」と言い続ける医療者、それを信じる一般の人たちがいます。さらに、イベルメ