西暦79年、ヴェスヴィオ火山の噴火で埋まったイタリア・ポンペイの遺跡には、住居のなかや壁など、あちらこちらに1万以上の落書きが残されている。商店の悪口や恋人へのメッセージなど、市民1人1人の素直な感情を表現したものが多いようで、落書きという性質上、「誰でも良いから、自分の感情を共有してほしい」「誰かに、自分の主張をアピールしたい」という思いが込められているのだろう。 最近、落書きではないが、これと似たような場面を何度か目撃した。場所は平壌。1月初めに開かれた第8回朝鮮労働党大会と、2月の党中央委員会総会での風景だった。朝鮮中央通信が配信した写真をみると、落書きの場面こそなかったが、出席者たちが一心不乱にメモを取っていた。同通信によれば、金正恩総書記は党大会で、のべ9時間にもわたって演説したという。9時間もメモを取っていたら、腱鞘炎になってしまう人もいたのではないか。 もちろん、メモは落書き