「イスラム国」の残虐さは、平和の国「日本」を震撼させた。「イスラーム国の衝撃」(池内恵著 文春新書 2015年1月)が代表的な著作だろうが、重要な軍事的側面にふれた手頃な1冊が、中東情勢に詳しい軍事ジャーナリスト黒井文太郎氏の手になる「イスラム国の正体」(ベスト新書 2014年12月)だ。非常に親しみやすい平明な文章がうれしい。 「イスラム国」への対応でも担当する公務員数の少なさがいわれる。この問題に、新進気鋭の東大准教授が取り組んだ労作が、「市民を雇わない国家」(前田健太郎著 東京大学出版会 2014年9月)である。副題は、「日本が公務員の少ない国へと至った道」である。 第1章「日本の小さな政府」において、日本の公務員数が本当に少ないのか、様々な先行研究・調査、国際機関の統計を丁寧に吟味する。広く流布した2005年10月31日付けの日本経済新聞に掲載された記事における「893万人」という