ジャストインタイム、カイゼン──。クルマの開発生産、ひいては製造業のけん引役を担ってきた世界のトヨタが、モビリティカンパニーへの転換を打ち出してから、その動きは加速している。その改革は、過渡期にあると言っていい。 改革の中心人物は、言うまでもなくトヨタ自動車社長の豊田章男(敬称略、以下、章男)だ。彼は一体、どんな覚悟で社運をかけた戦略の旗振り役をしているのだろうか。またトヨタはどこへ向かっているのだろうか。 章男の横顔を知る経済ジャーナリスト片山修が、書き下ろす特別連載。トヨタを巡るニュースの深層について、全5回でお届けする。 保守本流との闘い「変える勇気、変わる勇気」 「トヨタの“保守本流”と、この10年間にわたって闘ってきました」 豊田章男は最近、そのように語っている。 「でも、“保守本流”は今後も、社内から消え去ることはないでしょうね」ともいう。 それは、どういう意味か。 トヨタはい