宮本常一著『イザベラ・バードの旅『日本奥地紀行』を読む』のご紹介です。『日本奥地紀行』は面白いですが読むには難解な部分もあるため、民俗学者・宮本常一さんの視点で解説してもらえると解像度が格段に上がって、明治時代になったばかりの日本の姿が浮かび上がってきます。 男性が子育てにコミットする地域社会私は、これほど自分の子どもをかわいがる人々を見たことがない。子どもを抱いたり、背負ったり、歩くときは手をとり、子どもの遊戯をじっと見ていたり、参加したり、いつも新しい玩具をくれてやり、遠足や祭りに連れて行き、子どもがいないといつもつまらなそうである。『日本奥地紀行』に記されたイザベラ・バードの何気ない一節から、当時のイギリス社会との比較がされています。寄宿生活で教育が外部化された結果、家庭の崩壊や少子化といった問題が発生し始めていたイギリスからやってきたバードの目からみて、男性たちが自分の子どもを背負