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bookに関するmfluderのブックマーク (763)

  • 石牟礼道子/藤原新也『なみだふるはな』を読む - 関内関外日記

    『苦海浄土』三部作を読んでいて、福島の原発でおきていることを思い浮かべずにはおられなかった。その著者である石牟礼道子さんはどう見ているのだろうか。うってつけのがあった。藤原新也との三日にわたる対談だ。藤原新也といえば、おおよその著作というと言い過ぎだけれども、わりとの山の一角を占めているし、おれが持っているエロくない写真集はすべてこの人のものである。 が、なにかこう、藤原新也には油断できないところがあって……。 藤原新也『黄泉の犬』を読む - 関内関外日記(跡地) ということは、『黄泉の犬』の感想で書いた。そうか、『苦海浄土』以前に少し水俣病について触れていたのだ。まあともかく、確かなところはたしかだけど、うっかりついていくわけにはいかねえな、という人なのだ。おれにとってはね。 して、2011年6月13日から3日にわたる対談である。福島で起きていることについて……さて、非常に冷めた物言

    石牟礼道子/藤原新也『なみだふるはな』を読む - 関内関外日記
  • 『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ

    周りのみんながやっているから、乗り遅れないように私もやる――誰しも一度はこうした経験をしたことがあるのではないか。仲間外れは怖いものだ。多少ヘンな流行であっても、ついつい乗ってしまうのが人間の性である。 だが、そうして広まったブームも、時間が経つにつれて一つの風習・行事として根付く場合がある。「伝統」だなんて言葉がついていれば、説得力倍増だ。「古くから伝わるものなんだ、絶やしちゃいけない」という義務感すら覚えさせられる。 著者はここで疑問を抱く。その伝統、当に古くからあるのか? だいたい「古くから」「昔から」とは一体いつごろのことなのか? いつからなら「伝統」と呼べるのか? 書はそうしたモヤモヤを感じる日の伝統の数々を検証する一冊である。著者は1979年に「星新一ショートショート・コンテスト」入賞を機に数多くのラジオ番組制作に関わってきた名放送作家。脚家・作家としても活躍し、日

    『「日本の伝統」の正体』言葉の魔力に振り回されないために - HONZ
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    mfluder 2018/01/04
  • キモくて金のないおっさんの文学論~『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』 - wezzy|ウェジー

    少し前にインターネットを騒がせていた言葉に「キモくて金のないおっさん」というものがあります。これは社会的弱者であるが権利運動とか救済の対象として想定されていない男性を指す俗語です。 このおっさんたちはどうやら非常に社会的、経済的に苦しい状況に置かれている一方で、マイノリティとして見えづらいため女性とか少数民族、セクシュアルマイノリティ、障害者などに比べると自己主張しづらい状況に置かれているそうです。「キモくて金のないおっさん」については、こうした不可視化、つまり存在が認識されていないことが問題だと考えている人が多いようです。 しかしながら、私の見るところ、文学史上にはあまたのキモくて金のないおっさんが登場します。そこで今回は私が個人的にキモくて金のないおっさん文学の名作だと思っている、ジョン・スタインベックの『二十日鼠と人間』と、アントン・チェーホフ『ワーニャ伯父さん』をとりあげ、古典がど

    キモくて金のないおっさんの文学論~『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』 - wezzy|ウェジー
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    mfluder 2017/11/11
    “キモくて金のないおっさんが社会から無視されてきたと思われる方もいるようですが、実は近現代文学はこのようなおっさんの宝庫です”
  • 『兵士を救え! マル珍軍事研究』戦場での赤い下着に効果はあるのか? - HONZ

    長さ18メートルの砲身から時速650キロで放たれた砲弾がジェット機に撃ち込まれる。“砲弾”の重さは約1.8キロ。なにやら物騒だが、この砲弾の正体が「鶏肉」だと聞いたら、ほとんどの人がなにそれ?と首を傾げるに違いない。 アメリカ空軍のジェット機は年間3千回程度、バードストライクに見舞われるという。被害総額は年に5千万ドルから8千万ドルに及び、数年にいちどパイロットの命が奪われる。チキン砲は、バードストライクに機体がどれだけ耐えうるかの実験のために撃ち込まれていたのである。 実験なら鴨や雁のような飛べる鳥のほうがいいのでは?とツッコミを入れたくなるが、ニワトリは、湿地帯上空を飛ぶ鳥と比較しても肉の密度が高いのだそうだ。しかも入手しやすく規格化も容易。まさに実験の素材としてはうってつけというわけだ。 それにしても機体に向けて繰り返しチキン砲が放たれる光景にはなんだか脱力させられる。だがアメリカ

    『兵士を救え! マル珍軍事研究』戦場での赤い下着に効果はあるのか? - HONZ
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    mfluder 2017/10/29
    “本書が扱うのは、酷暑や疲労、大きな騒音や突然の下痢など、一見すると我々も日常生活で馴染みのある問題、けれど戦場の兵士にとっては死活問題となりかねない難問の数々”
  • ゲームと共に生きる。『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』 - HONZ

    人生を振り返ってみると、いつもその傍らにはゲームがあった。 プレイヤーの目の前に展開するゲームプログラムは誰にとっても同じものだが、ゲームがもたらす最終生産物は、プレイヤー各々にとって異なる「固有の体験」だ。僕の「初代ポケモン」と、誰かの「初代ポケモン」の思い出は大きく異なる。なにしろ、僕にとってのポケモンは、一緒に分担しながらポケモンを捕まえて、バグ技を共有して喜んだ友人たちの存在なくして語れない。 ゲームはやりすぎると現実を侵してくる。4つ同じ色の物が並んでいたら消えないかなと思うし、『GRAVITY DAZE』をやれば町中を飛び回る自分の姿をイメージし、『アサシンクリード』シリーズをやれば建物をどうやってよじ登ったらいいかを考え始めるようになる。書『ゲームライフ』は、そんなゲームと共に生き、実生活が侵された人間の人生を綴った回顧録である。 ゲームを批評するではないし、ゲーム

    ゲームと共に生きる。『ゲームライフ――ぼくは黎明期のゲームに大事なことを教わった』 - HONZ
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    mfluder 2017/10/29
    “著者の人生の中で、ゲームがどんな場所を占めていたのか。ゲームから何を学び、そこでどれほどの学びと救いを得たのかが淡々と綴られていく”
  • 『ウォークス 歩くことの精神史』めくれば、歩きたくなる本 - HONZ

    原書のタイトルは「Wanderlust」、旅への渇望という意味を持つ。著者レベッカ・ソルニットの代表作であり、著者自身が旅への渇望を持つ一人である。著者の名前が日で知られるようになったのは、著作『災害ユートピア』が、2010年という運命的なタイミングで出版されたためである。 人生をかたちづくるのは、公式の出来事の隙間で起こる予期できない事件の数々だし、人生に価値を与えるのは計算を越えたものごとではないのか。田園、および都市の徒歩移動は二世期間にわたって、予期できぬことや計算できぬものを探りあてる第一の方法であり続けた。それがいまや多方面からの攻撃に曝されている この二世期間で起こった「歩くこと」とそれがもたらしたことの歴史、そして、歩くことが置かれた不利な現状を、あらゆる分野から情報を狩猟して一冊のとしてまとめあげた。思索と歩くことの関係、歩行と文学、レジスタンスとしての歩行、庭園と迷

    『ウォークス 歩くことの精神史』めくれば、歩きたくなる本 - HONZ
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    mfluder 2017/10/29
    “取り扱われる話題も、話の筋も、てんでばらばらのように感じるのだが、ばらまいた伏線を徐々に回収し、1つの精神史としてまとめあげていく筆力が見事”
  • 『人を襲うクマ』すべて自己責任、なのか? - HONZ

    大正4年に北海道の開拓集落で死者8人を出した、三毛別ヒグマ襲撃事故。昭和45年に大学生のワンゲル部員3人が亡くなった、日高山脈でのヒグマ事故。記憶に新しいところでは、昨年5月に秋田県鹿角市で起きた4件のツキノワグマによる死亡事故。人とクマとの軋轢、その歴史は長い。 だが、書でも「クマが人を襲う理由も、99%以上はクマが自分自身の安全を確保するための防御的攻撃である」と解説されているように、上記のようなケースは例外中の例外である。それでも毎年、クマによる人身事故は発生するし、それがネットニュースなどで流れるたびに、コメント欄には「被害者の自己責任論」が投稿される。 しかし、書を読了後も、すべての事故を「自己責任」と言えるだろうか――? 書は、上述の日高山脈での事故の詳細や、クマをよく知る猟師の話、実際に襲われた人たちへのインタビュー、専門家による解説を柱に展開される。「無知で無謀な行為

    『人を襲うクマ』すべて自己責任、なのか? - HONZ
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    mfluder 2017/10/18
    “女性を助けたい一心だった。次の瞬間、クマは驚くべき速さで立ち上がり、男性の頭部へ前脚をふりおろした。「その一撃で右目がぽろっと落っこっちゃって、上の歯もなくなりました」”
  • 『重力波は歌う』想いを乗せて、重力波は歌い続ける - HONZ

    作者:ジャンナ・レヴィン 翻訳:田沢 恭子、松井 信彦 出版社:早川書房 発売日:2017-09-21 重力波は歌う。アインシュタインがそういう歌が存在することに気づいてからちょうど100年、我々はついにその歌を聞くことができたのである! 重力波の初検出は、物理・天文分野での今世紀最大の発見の一つであることは間違いない。 そして、その大発見が産み出される過程において、かくも複雑な人間模様が繰り広げられてきたことは、読者の方には大いなる驚きであったのではないだろうか?  というのも、一般の人が研究者に抱いているイメージは、純粋に研究の事だけを考え、世俗の事にはほとんど興味のないような人物像だからである。 しかし、研究の事だけを考えているからこそ、自分の好きなように研究したいという思いが人一倍強いのである。自分一人で行う場合はそれでよいのだ

    『重力波は歌う』想いを乗せて、重力波は歌い続ける - HONZ
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    mfluder 2017/10/03
  • 新装復刊『大気を変える錬金術』 世界を変えた化学 - HONZ

    歴史上もっとも人口の増加に貢献した科学的発明は何か?それは、多くの病気から命を救った医薬品でも、世界中のあらゆる地域へ人類を移動させた航海技術でも、機械化による効率化をもたらした産業革命でもない。もちろん、これらの発明も多くの命を支えており、現代生活に欠かせないものではあるが、その発明のおかげでこの世に存在している人命の数では、ハーバー・ボッシュ法には及ばない。この「空気をパンに変える」技術であるハーバー・ボッシュ法がなければ、地球の人口は現在の70億超の半数程度が限界だったはずだ。 このは、化学史上最大の発明と呼ばれるハーバー・ボッシュ法がどのように生み出されたか、2度の大戦に見舞われた20世紀前半の世界で化学がどのような役割を果たしたかを、世紀の発明をもたらした2人の天才フリッツ・ハーバーとカール・ボッシュの人生を軸として描き出す。特にハーバーの人生には、1人の人間が一生の間に経験可

    新装復刊『大気を変える錬金術』 世界を変えた化学 - HONZ
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    mfluder 2017/09/22
    ゛「空気をパンに変える」技術であるハーバー・ボッシュ法゛人口肥料誕生までに、人類がどのように固定窒素を求めて競い合ったか゛
  • 分断差別の歴史を超えて和解へ 『生き抜け、その日のために 長崎の被差別部落とキリシタン』(1)

    書のあとがきで著者高山文彦氏はこう書いている。「キリシタンと被差別民の相克、すべてを焼き払う原爆の悲惨、そうした辛苦の運命を生きてきた長崎という特異な都市の歴史において、静かな祈りのように重ねられてきた『その日』を願う人びとの粘りづよい生きかたを私は記録しておきたかった」 長崎県の浦上が4度の弾圧と原爆の被害を受けながらも、キリスト教信仰の受け継がれてきた土地であることはよく知られている。しかし、キリシタンが近年まで差別されてきた歴史は、あまり知られていない。 さらに、キリシタンを監視するため、浦上に被差別部落がつくられ、弾圧の役割を担わされ、両者の間に根深い対立と怨念の歴史があったということは、ほとんど知られていないのではないだろうか。 月刊「部落解放」での5年間の連載をまとめた書は、被差別部落とキリシタンの膨大な資料を元に、見過ごされていた歴史を丹念に掘り起こした優れたノンフィクシ

    分断差別の歴史を超えて和解へ 『生き抜け、その日のために 長崎の被差別部落とキリシタン』(1)
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    mfluder 2017/08/13
    "キリシタンと被差別部落という“差別された者同士”を対立させる「分断統治の歴史」"浦上の原爆の被害"同じく甚大な被害を受けた被差別部落の実態は、戦後長らく調査すらされていなかった"
  • 『教養としての社会保障』 - HONZ

    少子高齢化が進む中で、社会保障の持続可能性について不安を持つ人々が増えているようだ。「年金は破綻する」といった論調などその最たるものであろう。僕は半世紀近く生命保険業界に身を置いてきたので補完関係にある社会保障については昔から興味があったが、この分野では信じられないようなトンデモが多くバランスの取れた概説書に出会った記憶があまりなかった。 社会保障は、マクロの風景(制度の全体像)とミクロの風景(私をどうしてくれるの)とが乖離しているので理解が難しいのだ。書を読んでようやく探し求めていた良書に巡り会えた感がした。 書は3部構成をとっている。第Ⅰ部では、ビスマルクに始まる系譜、基哲学からわが国の社会保障制度の概要まで制度の基が過不足なく語られる。社会保障があるからこそ、人は「思い切って飛べる」のだ。 第Ⅱ部はマクロから見た社会保障。少子高齢化に喘ぐ社会の現状、産業としてGDPの2割を

    『教養としての社会保障』 - HONZ
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    mfluder 2017/08/08
  • 『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』 - HONZ

    何という人生の数々だろうか――。 書を読みながら、思わず天を仰ぎたくなるように、何度もそう感じた。 著者の城戸久枝さんが「あの戦争」と呼ぶ70年前の時代の混乱の中で、祖国を自らの意志によって選ばなければならなかった6人の体験が、丁寧な聞き取りによって描かれていく。 冒頭で滔々と語られる小林栄一氏の半生を読み始めたときから、私はその「語り」の重みに一気に引き込まれた。彼は満州への開拓団に参加した両親のもとに生まれ、終戦時のソ連侵攻からの逃避行の最中に家族と生き別れたという。弟とは別々の中国人に引き取られ、7回も家をたらい回しにされる。差別的な扱いを受けて育ちながら、ほぼ独力で人生を切り拓き、日への帰国を果たす。 あるいは、同じく開拓団の1人として大陸に渡った富満ていこさんもまた、15歳でたった1人、中国に取り残される。彼女の語る敗戦後の逃避行は、自らの子供を親が手にかける光景が繰り広げら

    『祖国の選択 あの戦争の果て、日本と中国の狭間で』 - HONZ
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    mfluder 2017/08/08
  • 亀田俊和『観応の擾乱 室町幕府を二つに裂いた足利尊氏・直義兄弟の戦い』

    これは8月6日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年7月に刊行されました。都内の某大型書店で書を購入したのですが、入荷数が多いのに驚きました。書は刊行前よりネットで話題になっているように見えましたが、それは私の観測範囲の狭さが原因で、知名度のあまり高くない争乱だけに、刊行当初より書店に多数入荷されるとは予想していませんでした。同じ中公新書の『応仁の乱』(関連記事)の大ヒットもありましたし、第二次?中世史ブームが起きているということでしょうか。 それはさておき、書についてですが、観応の擾乱は、初めて知った小学校高学年の頃より、情勢の変転が急で理解しにくい争乱だ、との印象をずっと抱いてきました。書はまず、観応の擾乱の前提となる室町幕府初期の体制と、室町幕府内部の対立の深まりを解説した後、観応の擾乱の具体的な様相を叙述し、最後に観応の擾乱の位置づ

  • 牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

    屋で見かけてからずっと気になっていた牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』(講談社)を昨晩から一気に読み上げました。 書は国鉄が崩壊、消滅に向けて突き進んだ二十年余の歴史に再検証を試みたものである。昭和が平成に変わる直前の二十年余という歳月は、薩長の下級武士たちが決起、さまざまな歴史上の人物を巻き込んで徳川幕藩体制を崩壊に追い込んだあの「明治維新」にも似た昭和の時代の「国鉄維新」であったのかもしれない。少なくとも「分割・民営化」は、百年以上も続いた日国有鉄道の「解体」であり、それはまた、敗戦そして占領から始まった「戦後」という時間と空間である「昭和」の解体をも意味していた。 この30年の間に、様々な立場の人々による回想録も多く出されましたが、その前史も含め、ここまで包括的に国鉄の解体を描き出したは初めてでしょう。国鉄という経営体の中の暗闘も、政治家の思惑も生々しく描き出さ

    牧久『昭和解体 国鉄分割・民営化30年目の真実』 - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
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    mfluder 2017/07/09
    "「現場の強さ」「現場力」が、経営体、事業体としての国鉄にとってかくも逆機能的に作用してしまったことの皮肉の意味は、実は今日に至るまで必ずしもきちんと総括されきっているわけではない"
  • 『中動態の世界 意志と責任の考古学』善でもなく、悪でもない。あいまいさを語る幻の文法 - HONZ

    深く関わりたくないと思う問題の多くは、善悪二元論に陥りがちなものばかりである。豊洲は安全なのか、そうでないのか。忖度はあったのか、なかったのか。唐揚げにレモンはアリなのか、ナシなのか…。議論を単純化すればするほど、問題は質から遠ざかる。それなのになぜ人は、かくも簡単に二元論に陥ってしまうのか? 答えを解く鍵は、文法にあった。 通常、我々が親しんできた文法の区分けは、能動態と受動態の二つである。これは全ての行為が「する」か「される」かのいずれかに配分されることを求めるが、前提として意志の概念が存在する。良きにせよ、悪きにせよ、自らの意志で行った行為であればそこに責任が伴うため、善悪の判断の基準になるのだ。 しかし、かつて能動態でも受動態でもない「中動態」なる態が存在していたという。書は、ある日忽然と姿を消してしまった中動態の足跡をミステリーさながらに辿り、中動態が存在した時代の世界観を鮮

    『中動態の世界 意志と責任の考古学』善でもなく、悪でもない。あいまいさを語る幻の文法 - HONZ
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    mfluder 2017/04/11
    怪しいな"中動態とはかつてのインド=ヨーロッパ語族(現在の英独仏露語のもと)に、あまねく存在していた態である"
  • 【書評】「陰謀史観」がいかに政府の意思決定に作用したか

    書評】『終戦と近衛上奏文 アジア・太平洋戦争と共産主義陰謀説』/新谷卓・著/彩流社/4500円+税 【評者】大塚英志(まんが原作者) ポストファクトの時代の助走としてあったのは陰謀史観の公然化である。トランプの主張に地球温暖化中国陰謀説などの「陰謀史観」が多く紛れ込んでいるが、日でもヤフーニュースのコメントなどで「サヨク」の「勢力」が「反日」的陰謀によって蠢いているかのようにしばしば語られている。SNSが世論を形成する時代には政権選択にまで反映する。 書は「大東亜戦争」は、軍や政府に潜入した共産主義者が、戦争による疲弊に乗じて共産主義革命を起こそうとしたものだ、だから「国体」の変更を求めない英米との終戦を探るべきだという近衛文麿の敗戦直前の上奏文の背景にある「陰謀史観」成立の経緯と、何よりその「史観」がいかに戦時下の軍や政府の意思決定や事件の要因として作用したかを丹念に追う。 陰謀史

    【書評】「陰謀史観」がいかに政府の意思決定に作用したか
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    mfluder 2017/02/05
    “陰謀史観を論破するのは相手が「事実」に立脚することを拒むので悪魔の証明に等しい。愚かだと嗤ったところで通じない”
  • 『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』人間の卑劣さと高潔さを徹底して描き出す - HONZ

    2007年8月24日、名古屋市内に在住の31歳の女性会社員、磯谷利恵さんが帰宅途中に男三人に拉致されて殺害され、岐阜県の山中に捨てられるという事件が起きた。犯人の一人が直後に警察に電話をかけて自首し、女性の遺体が発見されたことで事件が発覚した。 後に「名古屋闇サイト殺人事件」と名付けられたこの事件の犯人たちは、犯罪を行う仲間を募集するインターネットサイト「闇の職業安定所」という掲示板を通じて知り合い犯行に及んだ。事件は仲間を募る書き込みをしてから8日後、顔を合わせてから3日後に起こった。 事件があまりにも残虐で無計画なものだっただけに、マスコミは大きく報道した。「闇サイト」の存在が明るみになった頃で注目度も大きかった。実際、私もこの事件はよく覚えている。顔も見たことがない、縁もゆかりもない男たちが、金品強奪の目的のため一人で歩いている若い女性をターゲットにした、という恐怖と怒り。屈強の男三

    『いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件』人間の卑劣さと高潔さを徹底して描き出す - HONZ
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    mfluder 2017/01/25
    “名古屋闇サイト殺人事件”
  • 『海を渡る「慰安婦」問題——右派の「歴史戦」を問う』から「はじめに」

    執筆者:山口智美 『海を渡る「慰安婦」問題—右派の「歴史戦」を問う』(岩波書店2016)から「はじめに」の文章を掲載します。PDFで読まれたい方は岩波書店サイトからダウンロードできます。 「はじめにーー 海外展開を始めた日歴史修正主義者たち」 「歴史戦」と称して、日の右派が「慰安婦」問題を中心とした歴史修正主義のメッセージを、海外に向けて発信する動きが活発になっている。 歴史修正主義の動きは今に始まったわけではないが、第二次安倍政権発足後、政府による河野談話作成過程の検証や、2014年の『朝日新聞』の「慰安婦」報道の再検証後のバッシングを経て、右派、および政府の海外に向けた発信や、海外での右派在外日人、大使館や領事館の動きが加速した。書は、こうした海外展開の実態を明らかにし、日政治・社会の歴史修正主義を問うことを目的とするものである。 「歴史戦」という言葉を広めたのは、現在も

    『海を渡る「慰安婦」問題——右派の「歴史戦」を問う』から「はじめに」
  • 古処誠二『死んでも負けない』 - 紙屋研究所

    ビルマ従軍経験者はうわごとで誰に謝っているのか? 『この世界の片隅に』関連で文献をたどり、古処にたどり着いた(←イマココ)。 とんでもない小説である。 ビルマ戦線を生き延びた、粗暴きわまる祖父を、現代の高校生が観察する体裁をとるのだが、祖父が日射病(熱中症)に倒れてから繰り返す寝言(うわ言)、「申し訳ありません」「申し訳ない」は、一体誰へのものなのか、という謎解きをする小説である。一種のミステリーでもある。(ゆえに、ネタバレは、作の面白みを半減させる。この記事の次章に結末が示されるので、承知して読んでほしい。) ああ、これは自分の不注意で死なせてしまった部下とか戦友*1とか上官に対する贖罪の言葉であろう、と誰もが察する。「ありきたりな」戦争小説ならそうするであろう。 しかし、いかにもそれらしい結論になるだろうというフラグが小説の途中に何箇所も散りばめられるので、逆にぼくは「いや……これは

    古処誠二『死んでも負けない』 - 紙屋研究所
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    mfluder 2017/01/19
    “戦争を体験していない世代が、記録や資料・史料と徹底して向き合いながら、慎重に当時を再現しようとする態度”
  • 『看護婦の歴史~寄り添う専門職の誕生』(山下麻衣、吉川弘文館)書評 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)