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ブックマーク / goldhead.hatenablog.com (122)

  • 世界の言葉たちについて - 関内関外日記

    帰り道、信号待ち。横に母と娘。母がおそらくは中国語で娘になにかまくしたてている。たくさん喋っている。おれには中国語がわからないが「今夜はハンバーグ」とだけ言っているわけではないだろう。怒っているように聞こえたので、ひょっとしたら「あなたはいつも宿題を後回しにして遊んでばかりいる……」などとお説教をしているのかもしれない。 たぶん、だいたい、同じ量の日語で語られていたら、同じ程度の意味を伝えているのではないかと想像する。表意文字と表音文字では取るスペースの分量が違うが、かといって一千倍違うと言うこともない。話し言葉とて同じことだろう。 これはなにか大したことだ。いろいろな言語がある。いろいろな環境の中で、それぞれの文化とともにそれが生まれ、精密化してきた。われわれをとりまく環境、もの、ことは、それぞれにおおいに違う。なので、雨を表す語彙だとか、雪を表す語彙だとかの数が大違いだということもあ

    世界の言葉たちについて - 関内関外日記
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    mfluder 2024/05/11
    “このあたり、どのあたりかわからないが、人間というものの言葉の根源に関する何かがあるのではないか”
  • 藤岡康太騎手の訃報 - 関内関外日記

    藤岡康太騎手が死去 35歳 6日に落馬、意識戻らず G1・2勝、JRA通算803勝 | 競馬ニュース - netkeiba JRAは11日、6日の阪神競馬7Rで落馬負傷した藤岡康太騎手=栗東・フリー=が10日午後7時49分に死去したと発表した。35歳だった。落馬後は意識不明の状態が続き、入院加療していた。 藤岡康太騎手が落馬事故で死去した。自分が藤岡康太騎手が危ないと知ったのは、兄の藤岡佑介騎手の記事が出てからだった。土曜、日曜の競馬、最終レースが終わると、だいたいは「ああ、今日も負けたな」と思っておしまいにしてしまう。その日起きた事故のことなどあまり気にしない。テレビ中継で見た派手な落馬などは事情を追うかもしれないが、そうでない場合、あまり気にしない。 気にしなくなってしまっている。それだけ、競馬に落馬はつきものだ。競馬中継で「乗り替わり」の情報が出ていても、誰が誰に乗りかわるのかが気に

    藤岡康太騎手の訃報 - 関内関外日記
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    mfluder 2024/04/14
    “長いこと競馬ファンをやっていると、感覚が麻痺してしまう。馬も死ぬ、人も死ぬ。それでも、この間、高知で塚本雄大騎手亡くなったなどと知ると、やはり危ない仕事なのだなと思う”
  • ※個人の感想にたどり着けないインターネット - 関内関外日記

    www.gizmodo.jp こんな記事があって、おれはこんなことを書いた。 「最近、Google検索がイマイチな気がする…」→当にイマイチだった [ネット] 今どき個人ブログ書いてる人間も相当少ないが、それでももうまったくインデックスされなくなっていて、商品やイベントの一般人の感想なんかはもう検索エンジンからはたどり着けない。 2024/02/01 15:07 b.hatena.ne.jp 純粋な「個人ブログ」、「日記」というものはもうGoogleはインデックスしない。 staff.hatenablog.com 「しない」は言い過ぎかもしれないが、ほとんどしない。いつからだかはよくわからない。よくわからないが、おれがそれを実感したのは、去年「ジャパンモビリティショー」に行ったときのことだった。いや、正確には「行く前」だ。いったいどんなショーなのか、どのくらい混んでいるのか、どんな雰囲気

    ※個人の感想にたどり着けないインターネット - 関内関外日記
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    mfluder 2024/02/05
    ブログ検索が好きだったが、もうかなり前になくなっちゃったんだよな
  • ソ連・地下出版のベストセラー酒クズ小説『酔いどれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』を読む - 関内関外日記

    酔どれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行 (文学の冒険シリーズ) 作者:ヴェネディクト エロフェーエフ 国書刊行会 Amazon 書は1970年に執筆された。1970年のソ連。とてもじゃないがこれを共産党が許すとは思えない。だからこその地下出版。地下出版のベストセラー。そして、世界に広まった酒クズ小説の傑作。 冒頭からこんな具合だ。 クレムリン、クレムリン、と誰もが言う。クレムリンのことはあらゆる人から話には聞くが、自分で実際に見たためしは一度もない。もう何度となく、一千回も酔払って、それとも二日酔で、モスクワを北から南へ、西から東へ、端から端まで突っ切ってみたり、ただ無茶苦茶に歩き回ったりしたのに、クレムリンはただの一度も見たことはない。 昨日もついに見られなかった。ひと晩じゅうあの辺りをほっつき歩いて、それほど酔っていたわけでもないのだが、サヴョロヴォ駅を降りるとすぐに、手初めにズブロフカ

    ソ連・地下出版のベストセラー酒クズ小説『酔いどれ列車、モスクワ発ペトゥシキ行』を読む - 関内関外日記
  • 『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』を読む - 関内関外日記

    最澄と徳一 仏教史上最大の対決 (岩波新書 新赤版 1899) 作者:師 茂樹 岩波書店 Amazon 最澄と徳一、仏教史上最大の対決、である。仏教史上最大の対決かどうかは知らない。法然vs明恵というマッチアップのもあったはずだ。 法然対明恵 鎌倉仏教の宗教対決 (講談社選書メチエ) 作者:町田宗鳳 講談社 Amazon まあいい、『最澄と徳一』である。おれはこのに、いろいろ読んできた仏教にはなかったなにかを感じた。それはなんなんのか。一言で言えば「歴史学的な過去」である。 大著『メタヒストリー』(1973)によって、歴史叙述の持つ物語性、文学性に着目することの重要性を説いたアメリカ歴史学者ヘイドン・ホワイト(1928~2018)は、晩年、イギリスの歴史哲学者マイケル・オークショット(1902~1990)の提唱する「実用的な過去(practical pasot」「歴史て学的な過去(

    『最澄と徳一 仏教史上最大の対決』を読む - 関内関外日記
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    mfluder 2022/08/24
  • 舞妓さんの思い出 - 関内関外日記

    bunshun.jp 元舞妓さんがTwitterで未成年飲酒その他の話をぶちまけたら、結構話題が広がっている。おれが舞妓さんで思い出すのは……、前に書いていたので面倒くさいので引用する。 goldhead.hatenablog.com 舞妓さんのお話しを聞く機会があった。といっても、中学の修学旅行でのことである。話の内容は覚えていない。だが、内心で「この人達は将来売春をするのだろうか? しかし、そうだとしたら修学旅行の行事に教師が組み込んだりはしないだろう。よくわからない」と思ったものだった。そして、底辺の人生を歩むことになったおれは、花街での遊びどころか、安いチェーン居酒屋ですら酒を飲めず、安アパートで度数だけ高い安酒をあおるばかりである。そしてまた、舞妓というものは、さらに芸妓というものは男に買われるものなのかどうかわからないままおっさんになった というわけで、舞妓の世界を非常に明るく

    舞妓さんの思い出 - 関内関外日記
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    mfluder 2022/07/01
    “札束飛び交い酒飲みまくりで大人の欲望満ち溢れる上流階級の社会に属していた彼女らが、女性経験もまったくないような男子校の中学生たちを見て、なにを感じていたんだろうな”
  • 精神障害者が感情移入してしまった、映画『草の響き』 - 関内関外日記

    草の響き 東出昌大 Amazon 工藤和雄(東出昌大)は、徐々に精神のバランスを崩し、の工藤純子(奈緒)と共に故郷の函館に帰ってきたばかりだった。精神科で医師の宇野(室井滋)と面談した和雄は、自律神経失調症だと診断され、運動療法として毎日ランニングをするように指示される。札幌から函館へ引っ越してきた小泉彰(Kaya)は、同級生から、夏になったらダイビングしてみないかと誘われる。誘いを了承したものの実はカナヅチの彰は、市民プールへ練習しにでかけ、そこで見事な泳ぎをする高田弘斗(林裕太)と出会う。弘斗の姉、恵美(三根有葵)も加わり、3人は人工島「緑の島」の広場で遊ぶようになる。広場で花火をする彰たち。その周囲を走る和雄に気づき、彰と弘斗は追いかけるように走り出す。この日を境に、3人は時々一緒に走るようになる...。 おれは佐藤泰志原作映画『海炭市叙景』に打ちのめされて、佐藤泰志作品を読むよう

    精神障害者が感情移入してしまった、映画『草の響き』 - 関内関外日記
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    mfluder 2022/05/31
    “そういうものに対して、周りの人間というものは、ある程度の理解を示すが、ある限度を超えたら、もうおしまいだ”
  • マトリョーシカ売りに来た自称ウクライナの苦学生のことを思い出す - 関内関外日記

    今朝、シャワーを浴びていて、急に思い出したことがある。 「あ、昔、職場に、ウクライナ人の学生がマトリョーシカとか売りにきたことなかったか?」 調べたら、あった。 goldhead.hatenablog.com 「ワタシ、ウクライナカラキマシタ。日語ベンキョーシテマス。学費カセグタメ、自分でツクリマシタ」と、ウクライナ人(自称)の物売りが職場に来た。背はゆうに190cmはあろうか、薄いブルーの瞳の白人青年。よく言えば物憂げ、あるいはうつろな感じで、正直けっこうかっこいい。Tシャツにバックパック背負ってて、五円玉で作ったキーホルダーをぶら下げていた。 小さな箱を開けると、小さなマトリョーショカや民芸品風ボールペンなどが雑然と、というか無茶苦茶に乱れて入っている。固定せずにそのまんま詰め込んできただけ。売り物もどう見ても安い土産物で、とてもじゃないが自作には見えない。それでも好奇心で、「このマ

    マトリョーシカ売りに来た自称ウクライナの苦学生のことを思い出す - 関内関外日記
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    mfluder 2022/03/03
    “しかしなんだ、「ウクライナとは縁がなく生きてきたが」と思っていたが、ウクライナ人と話したこともあったんだな」などと”
  • 太陽が赤かったので、キムチ鍋を食べる - 関内関外日記

    太陽が赤かった。 赤い太陽は空を染めた。 それを見たおれは思った。 「そうだ、キムチ鍋をべよう」 キムチ鍋。 pic.twitter.com/OT2zZviTaF— 黄金頭 (@goldhead) 2022年1月9日 キムチ鍋。 pic.twitter.com/5lbH5jnoY9— 黄金頭 (@goldhead) 2022年1月10日 三連休はほとんど臥せっていたので、買い物はコンビニ、その横にある「まいばすけっと」的な店。小さなキムチの素と、小さな液体みそ汁を買う。肉はそのまま蒸し野菜用のササミを用いた。ひさびさなので味の加減がわからない。だが、しょせんはといってはなんだが、キムチ鍋はキムチの味がするのであって、それ以上でもそれ以下でもない。が、初日は野菜が少なすぎた。 話は変わるが、おれはこのところ体重が減少している。べつに肥満体でもないし、逆に痩せすぎでもない。一応は「標準体重」

    太陽が赤かったので、キムチ鍋を食べる - 関内関外日記
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    mfluder 2022/01/11
    “このようにして、たったひとりのアパートで、たった一人の日々が過ぎていく。それでも世界とはある部分でつながっている。だから、なんというか、このようにして、自分の日々は過ぎていきます”
  • 大谷翔平に関する記事で一番好きなやつを紹介したい - 関内関外日記

    メジャーリーグのオールスターでホームランダービーに出た。番では先発投手であり、一番打者だった。大谷翔平はとどまることをしらない。 そんな大谷翔平についていろいろな記事が書かれている。プレーの内容や打ち立てた記録のほかは、もっぱら「アメリカの反応」的な記事が多く、大谷翔平のプライベートに関する記事などはあまり見ない。当に野球に専念していて書くことがないのか、マスコミもこの稀代のヒーローについて余計なことを書きたくないのかわからないが。 でも、たまにちょっと毛色の違う記事も出る。おれが好きなのはこの記事だ。消えてしまうともったいないので、一部引用して、残しておきたい。 www.sanspo.com ときは2016年、大谷渡米前の話である。記者は偶然、飛行機で大谷翔平の隣の席になる。機体が動き始めると、大谷はすぐ眠りについた。そして、飛行機が目的地の羽田空港に近づくと……。 そして約1時間半

    大谷翔平に関する記事で一番好きなやつを紹介したい - 関内関外日記
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    mfluder 2021/07/14
    “おれはこのエピソード好きだな。大谷翔平の泰然自若とした感じというか、底しれぬ大物感があるじゃないか”
  • あんたは『第五の季節』を読む - 関内関外日記

    第五の季節 〈破壊された地球〉 (創元SF文庫) 作者:N・K・ジェミシン 東京創元社 Amazon これは、世界の終わりの物語―数百年ごとに“第五の季節”と呼ばれる破局的な天変地異が勃発し、文明を滅ぼす歴史がくりかえされてきた超大陸。その世界には、地球と通じる能力を持つがゆえに虐げられる“オロジェン”と呼ばれる人々がいた。そんな中、あらたな“季節”が到来しようとしていた…。前人未踏、3年連続で三部作すべてがヒューゴー賞受賞。新時代の破滅SF。 あんたはSFをカート・ヴォネガットとフィリップ・K・ディックから読み始めた。正確に『チャンピオンたちの朝』と『ザップ・ガン』からだ。そのあとあんたは、SFオールタイムベスト的な作品を読んだ。ウィリアム・ギブスンの文体にはしびれた。 だが、その次は? あんたはSF雑誌のこともよく知らない。だが、こんなことに気づいた。表紙か帯に「ヒューゴー賞」、「ネ

    あんたは『第五の季節』を読む - 関内関外日記
  • 想像を絶する味のものと現代のコンビニで出会える確率について - 関内関外日記

    ちょっとまえ、ネットでこんな飲み物が話題になっていた。 togetter.com かなり悪評である。なかなかすてきな不味さ表現も見られる。おれはこういうのを見ると、ついつい買いたくなってしまう。 が、おれの行くスーパーやコンビニでは売ってないんだよな。「やはり味に問題があってあまり流通していないのかな?」と思ったりした。 ……のだが、いつも行くコンビニ、ケースの中を探して「やはりないな」と確認したあと、おにぎりみたいな外の棚に並んでいるのを見つけてしまったのだ。しまった。買ってしまった。 一口飲んだ。 ちょっと前話題になっていたこれ、当にやばいな。コーヒーとレモン飲料が一番悪い形で融合されたような何か。一口飲んだときは「意外に甘い」と思ったものの、その後の酸味とあと味……ううう。飲み切れるかな。 pic.twitter.com/jOJOuHBS4a— 黄金頭 (@goldhead) 20

    想像を絶する味のものと現代のコンビニで出会える確率について - 関内関外日記
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    mfluder 2021/07/05
    “そのおれが、味を理由に、飲み物を捨てた。自分でもショックでした。もったいないの精神に反する。しかし、これはそれを上回る……味でした”
  • この世界のド底辺で―『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』を観る - 関内関外日記

    屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ(字幕版) 発売日: 2020/06/17 メディア: Prime Video www.youtube.com もうなんというか、ここまでド底辺のドブ臭い映画というのは珍しい。どんなきれいごとも、救世軍も通用しない、地獄の門が開いちゃったような感じ。 『冷たい熱帯魚』、うんうん、『ジョーカー』、うんうん。仲間かもしれないね。でも、なんか、圧倒的にこの映画のダメさ加減、主人公フリッツ・ホンカの腐りっぷりとは質が違う。 実録連続殺人鬼映画だからといって、直接的な残酷シーンというのはない。『ミッドサマー』の方が十倍はグロい。とはいえ、映画全体を覆う雰囲気のダメさ加減、飲み屋「ゴールデングローブ」の鬼底辺っぷりは圧倒的だ。 あ、予告編に出てくる若い金髪の女の子なんて、だいたい予告編に出ているシーンがすべてだから。あとはほとんど、娼婦というか、おばあさん娼婦ばかり出て

    この世界のド底辺で―『屋根裏の殺人鬼 フリッツ・ホンカ』を観る - 関内関外日記
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    mfluder 2021/06/03
    “望みは捨てろ。そしてその先に有意義なものなんかなんにもない。空虚な殺人鬼とそれを取り巻くしょうもない世界があるだけだ”
  • 穂村弘『にょっ記』を読む。 - 関内関外日記

    おれは穂村弘のことはよく知らない。よく知らないが、高橋源一郎の文章で何回か名前を見たことはある。棚で『にょっ記』というを見かけたので、手にとってみる。すると、こんな文章が目に入る。 4月3日 武蔵丸 武蔵丸の夢をみる。 夢のなかで武蔵丸は悲しそうな顔で訴えていた。 「私より、大きなひとも、いるんです」 「ええ」と頷いたが、それだけでは足りない気がして「わかります」と付け加えた。 武蔵丸は悲しそうに頷いた。 こんなん、面白いに決まっている。 にょっ記 (文春文庫) 作者:穂村 弘 発売日: 2009/03/10 メディア: 文庫 で、この、この調子で日記ならぬ「にょっ記」が綴られている。この「武蔵丸」くらいの長さのものもあれば、さらに短いもの、ちょっと長いものもある。あと、急に差し挟むけど、なぜか今夜は文章を打つのがつらい。ちょっと体調が悪いのかもしれない。 ほかに気になったものをい

    穂村弘『にょっ記』を読む。 - 関内関外日記
  • アメリカの黒人はどう扱われたのか? 小説『地下鉄道』を読む - 関内関外日記

    地下鉄道 (ハヤカワepi文庫) 作者:コルソン ホワイトヘッド 発売日: 2020/10/15 メディア: Kindle版 ピュリッツァー賞、全米図書賞、アーサー・C・クラーク賞、カーネギー・メダル・フォー・フィクション受賞。 19世紀初頭のアメリカ。南部のジョージア州にある農園での奴隷少女コーラは、ある日、自由な北部を目指して農園から逃亡することを決める。轟々たる音を立てて暗い地下を走る鉄道、〈地下鉄道〉に乗って――。しかし彼女の後を、悪名高い奴隷狩り人リッジウェイが追っていた。 地下鉄道とは、実際に存在したものである。南部の黒人奴隷たちを、北部へ逃がすネットワーク。 地下鉄道 (秘密結社) - Wikipedia して、作では、その「地下鉄道」が、当に地下を走る地下鉄道として描かれる。ある意味でファンタジー、もしくはSFである。 ……であるが、なんというか、おれはSF的な盛り上が

    アメリカの黒人はどう扱われたのか? 小説『地下鉄道』を読む - 関内関外日記
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    mfluder 2021/04/20
    "であるが、なんというか、おれはSF的な盛り上がりを、小説の湧き上がるところを本作に感じ入るところはなかった。ただひたすらに、当時のことをよく調べ上げたのであろうという、その事実に目が行った"
  • ルソー『人間不平等起源論』を読む - 関内関外日記

    人間不平等起源論 (光文社古典新訳文庫) 作者:ジャン=ジャック ルソー 発売日: 2008/08/07 メディア: 文庫 所有という観念の発生 ある広さの土地に囲いを作って、これはわたしのものだと宣言することを思いつき、それを信じてしまうほど素朴な人々をみいだした最初の人こそ、市民社会を創設した人なのである。 おれはこの一節、どこかべつのほんで引用されていたこの箇所を確かめたいがためにこのを読んだ。この一節はこう続く。 そのときに、杭を引き抜き、溝を埋め、同胞たちに「この詐欺師の言うことに耳を貸すな。果実はみんなのものだし、土地は誰のものでもないそれを忘れたら、お前たちの身の破滅だ」と叫ぶ人がいたとしたら、人類はどれほど多くの犯罪、戦争、殺戮を免れることができただろう。どれほど多くの惨事と災厄を免れることができただろう。 そのとき、「叫ぶ人」はいなかった。人類は悲惨になった。 しかし一

    ルソー『人間不平等起源論』を読む - 関内関外日記
  • 二回目の『シン・エヴァ』は本当になんていうことなかったわ - 関内関外日記

    二回目の『シン・エヴァンゲリオン』鑑賞。今度は女と一緒に行った。女はアマプラで新劇場版を予習した上に、解説You Tubeを見てきたという。女は庵野秀明とほぼ同世代である。『Q』だけがよくわからないと言っていた。 シアターはブルク13のIMAX。おれが最初に観たのは封切り日だった。満員だったし、なにか空気がピリピリしていた。それがどうだろうか。公開……何周目かの今日は、空席も目立ったし、なによりピリピリしていなかった。 おれはというと、さんざんネットでいろいろな感想、批評、考察、批判を読んできて、なんだかわからないが、二度目とは思えない、という感じだった。庵野秀明総監督のドキュメンタリーももちろん観た。ただ、なんというか、「二度くらいは劇場で観る」と決めてはいたが、それにすらテンションが上がらなかった。でも、あらためて観たら印象変わるかな、と思っていた。 が、印象は変わらなかった。なにかも

    二回目の『シン・エヴァ』は本当になんていうことなかったわ - 関内関外日記
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    mfluder 2021/04/04
    "やはりおれのなかのエヴァンゲリオンは成仏されてしまったのだし、おれは浄化されてしまったのだ"「ただ、わからんけど、終わったので、大団円なのです」と言った。「それはなんとなくわかる」と言われた"
  • ふりむくな、うしろには夢がない ― さよならエヴァンゲリオン 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』感想 - 関内関外日記

    ふりむくと 一人のマニアが立っている かれはエヴァンゲリオンの新作が出るたび うれしくて 三度も劇場に通った ふりむくと 一人の失業者が立っている かれは綾波レイのフィギュアを売って 苦しい月末の飢えをしのいだ ふりむくと 一人の人が立っている 彼女は夫にかくれて 渚カヲルのキーホルダーを買ったことが たった一度の不貞なのだった もうだれもふりむくものはいないだろう うしろには暗い劇場があるだけで そこにエヴァンゲリオンは もうないのだから ふりむくな ふりむくな うしろには夢がない エヴァンゲリオンが終わっても すべてのアニメが終わるわけじゃない 人生という名のモニターには 次の放送を待ち構えている数千作もの 名もないアニメの群れが 朝焼けの中で追い込みをかけられている 地響きが聞こえる 思い切ることにしよう エヴァンゲリオンは ただ数体のフィギュアにすぎなかった エヴァンゲリオンは 

    ふりむくな、うしろには夢がない ― さよならエヴァンゲリオン 『シン・エヴァンゲリオン劇場版』感想 - 関内関外日記
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    mfluder 2021/03/09
    “でも、おれのなかでその気持ちはいまのところ起こっていない。おれの中にあるのは、エヴァンゲリオンに対する充足だった。貞本義行の漫画版でも得られなかった充足。 おれはエヴァンゲリオンに満ち足りてしまった
  • わいせつえんとつの町 - 関内関外日記

    「ではみなさんは、そういうふうに川だといわれたり、乳の流れたあとだといわれたりしていた、このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか」 先生はそういった。そう問うた先生も、その白いものがなにかわからない。ぼくらの町はつねに謎の白い煙に包まれている。 その煙を出しているのは、数百もあるえんとつだ。えんとつはどれもわいせつな形をしていて、大きなものは先端が見えないくらい長かったし、小ぶりながらもどうどうと反り返って、もくもくと煙を出しているものもある。 えんとつをようする工場では、ぼくたちの一族がわいせつ石膏を作るための、たいせつな材料を作っている。この町はそのために作られたのだ。一族のために、一般人の政治の世界で権力をにぎったものがいて、町に危険な発電所を建てたりして、海に面した山あいのこの町を、世間から隠してしまった。そして、町の内外の行き来をたいへんむずかしくしてしまった。 とは

    わいせつえんとつの町 - 関内関外日記
  • 石牟礼道子に相対するには力が要る 『水はみどろの宮』を読む - 関内関外日記

    水はみどろの宮 (福音館文庫 物語) 作者:石牟礼 道子 発売日: 2016/03/10 メディア: 単行 おれは石牟礼道子を偉大な文学者にして「おばあさま」のような存在と思っている。しかし、全部読んだとは言い難い。むしろ、あまり読んでいないといってもいいかもしれない。『苦海浄土』だけで石牟礼道子は語れない。しかし、石牟礼道子は強烈だ。強烈というのも趣のない言葉だが、あまりいい表現が思い浮かばない。そして、その強烈な存在に相対するには力が要る。おれは何作か跳ね飛ばされている。 ようやく、『水はみどろの宮』を読むことができた。おれの中では格闘のようなものである。べつに難解な言葉で綴られているわけでもない、話はちょっと突飛だけれど、べつに人を拒絶するようなものでもない。ただ、その文章の質の高さに圧倒されてしまうのだ。 村の祭りが近づくと、舟着き場から離れて、流れて大きく曲がった河原に、ときど

    石牟礼道子に相対するには力が要る 『水はみどろの宮』を読む - 関内関外日記
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    mfluder 2020/12/20
    “まさに情景という言葉にぴったりではないか。文章は比喩から腐ると高橋源一郎は言ったが、ここにはそんな心配はいらない。どこまでもすがすがしい美しさがある""あと、本書は猫好きにもおすすめです”