最初の100ページでものすごい本だと分かった。 この時点で、すでに読め!と言える。 読み通したら、あらためて、ご報告予定。 関係ないけどFIFAのチケット販売。本日第四次販売。 準々決勝まではほぼゲットできた。
■代替医療のトリック(サイモン・シン著, エツァート・エルンスト著, 青木薫訳)。原題はTrick or Treatment?。著者の一人のサイモン・シンは、サイエンスライターとしてトップクラスであり、暗号解読やフェルマーの最終定理といった著作がある。「代替医療のトリック」も含め、いずれも青木薫による翻訳である。私は、サイモン・シン+青木薫という組み合わせの本は自動的に買うことに決めている。もう一人の著者のエツァート・エルンストは、プロフィールによれば、「代替医療分野における世界初の大学教授」であるとのこと。「著者論文多数」ともあるが、Pubmedで調べてみるとその通りであった。たとえば、「"Ernst E"[Author] and homeopathy」では73件が引っ掛かった。これからは、良く知らない代替医療について調べたいときには「"Ernst E"[Author] and 」を付け
ドーキンスの新刊の進化の存在証明を読み終えた。垂水雄二訳。巻頭に30ページ以上のカラー口絵がついている。本屋で見かけたら、口絵の部分だけでもざっと見るべき。私のお勧めは、シファカ(マダガスカルのサル)のダンス。 [f:id:NATROM:20100104160900j:image] シファカのダンス さて、本の内容はタイトル「進化の存在証明」そのまんま。さまざまな証拠を提示しつつ生物進化が事実であることを示している。科学について少しでももののわかった人ならば生物進化を疑ったりはしないが、それにも関わらずドーキンスがこの本を書いたのは、もちろん、主に宗教的な理由で進化を信じない人たちが少なからず存在するからである。残念なことに、一番この本を読まなければならない人たちのほとんどは、これほどのボリュームのある本は読まないだろう。かような本を読むだけの能力があれば、それほど簡単に進化論否定にはまっ
ダーウィン(Charles Darwin)による「種の起源」の出版から150年を記念して新訳が出版されました。改めて通読し、さらに「読み方ガイド」で当時の背景をふまえながらダーウィンの考えたことをたどってみました*。 「種の起源(上)」 「種の起源(下)」 「ダーウィン『種の起源』を読む」 目次(上:1-7章、下:8-14章) 第1章 飼育栽培下における変異 第2章 自然条件下での変異 第3章 生存闘争 第4章 自然淘汰 第5章 変異の法則 第6章 学説の難題 第7章 本能 第8章 雑種形成 第9章 地質学的証拠の不完全さについて 第10章 生物の地質学的変遷について 第11章 地理的分布 第12章 地理的分布承前 第13章 生物相互の類縁性、形態学、発生学、痕跡器官 第14章 要約と結論 英語の原文 http://darwin-online.org.uk/content/frameset
→紀伊國屋書店で購入 「医療史の分水嶺を生きた群像」 麻酔のなかった時代、外科手術は何を当てにしていたのか。ざっと羅列するとこのようになるらしい。ちなみに、これは欧米の場合。1)アヘンの使用。2)アルコールの使用。3)心頭滅却。4)催眠術。5)氷冷却。6)失血による失神。7)手術部位だけを露出させるような箱や袋に患者を閉じ込める。8)痛みの程度や時間について患者に嘘をつく。 当然のこと、痛みをコントロールするにはどれも不完全だった。手術されるくらいなら病気の進行に身を任せた方がましと考えた患者も少なくなかったし、手術を前に自殺した者もいた。ところが、驚いたことには、麻酔なしに四肢切断はもとより、開胸手術(心臓や肺の手術ということになる)までがなされていたという。上記の3番目、心頭滅却が冗談ではなかったわけだ。加えて、今日のような手術衣と外科手袋といった外科医のシンボルもありはしない。手術衣
かなり誤解を招きやすい教養書。 わたしの場合、タイトルと評判だけで読んだフリをしてきたが、その理解ですら間違っていることが分かった。ああ恥ずかしい。このエントリでは、わたしがどんな「誤読」をしてきたかを中心に、本書を紹介してみよう。 まず、「遺伝子が運命を決定する」という誤解。「利己的な遺伝子」なる遺伝子がいて、わたしの行動をコントロールしていると考えていた。遺伝子は、わたしの表面上の特徴のみならず、わたしが取りうる行動や反応を支配しており、そこから逃れることはできない――などと思っていた。わたしが利己的なのは遺伝子のせいなんだ、というリクツ。 次に、「われわれは遺伝子の乗り物(vehicle)にすぎない」ことから、虚無的な悲観論に染まりきったこと。「ニワトリは、卵がもう一つの卵を作るための手段」なのだから、われわれは生殖さえすればよろしい。極端に言うならば、生殖しないのであれば、その人生
読みかけ。 レッドムーン・ショック―スプートニクと宇宙時代のはじまり 作者: マシューブレジンスキー,Matthew Brzezinski,野中香方子出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2009/01メディア: 単行本 クリック: 10回この商品を含むブログ (8件) を見る 一九五七年―アポロ11号が月面着陸に成功する一二年前、人類と宇宙の関係を変えた世界初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられた。スペースシャトルや宇宙ステーションにいたる、宇宙時代の幕開けである。アメリカとソ連、それぞれの国家の威信や権力闘争に巻きこまれながら宇宙をめざす科学者たちの挑戦、フルシチョフやアイゼンハワーたち政治家の思惑、軍部に渦巻く対抗心。人類最後の未踏地「宇宙」を征する栄誉は、どちらの手に…?冷戦下、米ソ宇宙開発競争の裏側で繰りひろげられた熱い人間ドラマが、当時の関係者たちの新たな証言を
N響の「第九」も観終わり、2008年ももうすぐ終わりです。今年も沢山の本を読んできました。今年読んで強く印象に残った本をまとめリストアップしつつ、読んだ感想やその本にまつわるエピソードなど、今年を振り返りたいと思います。ランキングではないので、印象に残った本の冊数も設定していません。 ◆天文学者はロマンティストか? -知られざるその仕事と素顔 今年は、私にとって天文・宇宙関係で大きく発展した年でした。天文学に関する講座や星空観望会に参加したり、そこから新しい仲間が出来たり。天文・宇宙の楽しみ方が一気に広がりました。自分が楽しくだけじゃなく、興味を持ったことについてこのブログで記事にしたり、体験したことを友人に話して紹介したり。この本で「天文学はみんなの科学」という言葉が出てきたが、まさにそれを実感した一年でした。天文・宇宙・科学への興味が、私たちの心、文化を豊かにしてくれる。来年は「世界天
渋谷の中規模書店(もはや渋谷に大書店は存在しない)で、id:hiroki_fさんが推奨していた 清水明著『量子論の基礎』を売っていたので買ってきました。 量子論の基礎―その本質のやさしい理解のために (新物理学ライブラリ) 作者: 清水明出版社/メーカー: サイエンス社発売日: 2004/04/01メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 231回この商品を含むブログ (41件) を見る 著者は、ものまねの清水アキラさんとは別人です。 まだ読んでないけど、これはいい本です。読んでないのにいい本て、どういこと? だから、本としてよく出来ているのです。僕から見るとほぼ理想的です。本は、PDFなどとは違い、体積も質量もある物体です。ブツとしての良し悪しは読まなくたって分かります。 A5判(20.8x14.8x1.8cm)288(内容264)ページは非常に扱いやすいサイズです。もちろん、ハードカ
少し前に、はてなブックマークでこんな記事が話題になっていました。 ◆はてな匿名ダイアリー:ソ連宇宙オタが非オタの彼女にソ連宇宙世界を紹介するための10機 非常に濃くて面白かったwヒロイック的なイメージのアメリカ宇宙世界もいいけど、細かいことにはこだわらずシンプルかつ実用的でタフなソ連・ロシア宇宙世界も好きだ。ソユーズは本当にタフで安定性があるし、ミールもいろいろあったけど、宇宙開発史の中で忘れられない存在。エネルギアなんてとんでもないロケットもあったし、結局有人探査は出来なかったがアメリカに先駆けて月探査を行った「ルナ計画」も印象的。ちなみに、私はルナ17号・21号に搭載された世界初の月面無人探査機「ルノホート」が好きです。 ルノホートは、こんな探査機です。食玩「王立科学博物館 第1展示場」より「赤いロボット」ルノホート1号 前置きはここまでにして、この「ソ連宇宙オタが~」の記事の中に、何
アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書) 作者: 堂目卓生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/03/01メディア: 新書購入: 8人 クリック: 169回この商品を含むブログ (114件) を見る 『国富論』や『道徳感情論』を翻訳ですらまともに読んだことない無教養な人間にとってはとてもためになる本だった。内容については、 ここで描かれたスミスは、個人の利益追求絶対者でもなく、急進的規制緩和論者でもなく、市場原理主義者でもなく、経済成長論者でもなく、富国論者でもない。人類の存続と繁栄を希求し,時々の政策課題に真摯に対応し、現状にたいして熱狂も絶望もしない等身大の人間に幸福の境地を見たスミスといってもいい。 という赤間道夫氏の評が簡にして要を得ていよう。 特に印象だったのは、「富」を目指す「弱い人(小人・俗物)」と「徳」を目指す「賢人(君子)」との二元論に
kikulog 記事一覧 カテゴリー別記事一覧201410 2014/10/22 江本勝氏の死去 201409 2014/09/12 生協の「書評対決」の書評 201407 2014/07/04 「いちから聞きたい放射線のほんとう」サポートページ 201406 2014/06/04 「いちから聞きたい放射線のほんとう」訂正箇所 201404 2014/04/23 朝日新聞に書評が出るようです [kikulog 647] 2014/04/09 理研CDBの騒動について [kikulog 646] 2014/04/07 博士論文中での剽窃について [kikulog 645] 201403 2014/03/17 「いちから聞きたい・・」のあとがき [kikulog 644] 2014/03/03 論文: Structural flexibility of intrinsically disord
→紀伊國屋書店で購入 インフルエンザ・ウィルスの人工合成に成功するなど、世界的な業績をあげているインフルエンザ学者による啓蒙書である。その道の権威が研究生活をふりかえりながら、一般読者向けに解説するという古き良き新書の流儀で書かれており、文章が平明なので二時間もあれば読める。 H5N1型インフルエンザはヒトに感染しやすい方向に着々と進化しており、新型誕生は時間の問題なので、最近のインフルエンザ関係の本は危機感があらわだが、本書は2005年の刊行なので、牧歌的といっていいくらいのんびりした書き方である。しかし、それがよい。新型インフルエンザ関係の本は何冊も読んだが、見通しのよさという点では本書が群を抜いている。本書のおかげで、ジグソーパズルがようやく一つの絵にまとまってくれた。 語り口はのんびりしているが、よくよく考えると、恐ろしいことが書いてある。 1997年5月に香港でH5N1型の死者が
→紀伊國屋書店で購入 1998年8月、北極圏に浮かぶノルウェイ領スピッツベルゲン島の共同墓地で、各国のマスコミが注視する中、永久凍土を掘りおこして7人の青年の凍りついた遺体が発掘された。青年たちは極北の島の炭鉱で働く炭坑夫だったが、1918年にスペイン・インフルエンザで死に、この地に葬られたのだった。 80年前の遺体を掘りだすのはスペイン・インフルエンザのウィルスを採取し、塩基配列をつきとめるためだった。インフルエンザのウィルスがはじめて分離されたのは1933年であり、1918年当時はファイファー桿菌が病原体だと信じられていたから、パンデミックをおこしたのがどういうウィルスだったかわかっていなかった。今後予想される強毒型の新型インフルエンザにそなえるためには、これまでヒトに感染したインフルエンザのうち最も症状の激しかったスペイン・インフルエンザの遺伝子を調べる必要がある。 同様の試みはアラ
→紀伊國屋書店で購入 世界を席巻したスペイン・インフルエンザは日本にも襲来した。まず、1918年5月に先触れの流行があり、1918年冬の第二波、1919年冬の第三波が欧米とほぼ同時期に日本を駆け抜けた。先触れ流行は大角力夏場所で休場力士が多数出たことから「角力風邪」と呼ばれた。高病原性を獲得して以降の第二波と第三波は多数の死者を出したので疫病としてあつかわれ、「前流行」、「後流行」と呼ばれている。 本書は日本におけるスペイン・インフルエンザの流行を研究したはじめての単行本である。クロスビーの『史上最悪のインフルエンザ』に倣った部分が多く、周辺地域や文藝作品にまで目を配っている。クロスビーはアメリカを中心に全世界をあつかっていたが、本書は日本だけなので生の史料を多数引用している。ほとんどのページに当時の新聞(ローカル紙が多い)に載ったスペイン・インフルエンザ関連の記事が画像で掲げられているが
→紀伊國屋書店で購入 新型インフルエンザの関連でスペイン・インフルエンザが注目されているが、本書はスペイン・インフルエンザを歴史の観点からあつかった最初の著作である。初版刊行は1976年だが、30年以上たった現在でも読みつがれており、この分野の古典といってよいだろう(邦訳では「スパニッシュ・インフルエンザ」と表記されているが、本欄では速水融氏の提唱する「スペイン・インフルエンザ」という呼称で統一する)。 スペイン・インフルエンザは第一次大戦さなかの1918年春、アメリカのシカゴ近郊で誕生したと著者は考えている(現在では必ずしもそう考えられてはいない)。スペイン・インフルエンザは普通のインフルエンザとは異なり、若者を狙い撃ちにした。感染の温床となったのは軍の訓練キャンプだった。当時、アメリカは毎月20万人以上の兵士をヨーロッパ戦線に送っていたが、訓練キャンプで蔓延し、アメリカ兵とともに大西洋
以前、朝日新聞で「宇宙空間のモンスターたち」という連載があったのだが、それがとても面白かった。この講義を担当した福江純先生の本を読んでみた。 ・「宇宙空間のモンスターたち」講義第2回/講義第3回 “見えない宇宙”の歩き方―ブラックホールからニュートリノまで (PHP新書) 福江 純/PHP研究所/2003 この本を読んで感じることは、私たち人間が「見る」ことができる世界は、本当に小さく狭いのだということ。人間の眼は、可視光線しか見ることができない。しかし、この宇宙には電波やX線、赤外線や紫外線など「見えないけど存在する」ものの方が多い。そしてそれをどうにかして「見える」ようにすることで、人間は宇宙の謎を解いてきた。「見えないもの」を見えるようにする新技術…望遠鏡や天文観測衛星を開発することも重要だけど、それ以前に「見えないもの」が存在すると証明することはとても難しいけれども重要だ。誰も見た
宇宙が好きな私にとって、宇宙に関わる仕事は憧れの存在。でも、実際何をしているのか良く分からない部分もある。天文学者もそのひとつ。天文学者は何をしているのか。天文学とは何なのか。そんな疑問に答えたのがこの本。 天文学者はロマンティストか?―知られざるその仕事と素顔 (生活人新書 236) 縣 秀彦/日本放送出版協会/2007 筆者の縣さんは、国立天文台の「天文情報センター」で天文学の普及と国立天文台の広報に当たる仕事をされている方。縣さん自身子どもの頃から宇宙・天文が好きで天文学を学び、国立天文台で天文学者を一番近くで見ているけれども、縣さん自身は天文学者とは異なるため客観的な立場にもある。 そんな縣さんの視点での"天文学"と"天文学者"とは。 冒頭にある、4人の天文学者たちへのインタビューがかなり面白い。天文学者と言っても、望遠鏡で星を観るだけが仕事じゃない。コンピュータや、紙と鉛筆と自分
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く