タグ

ブックマーク / kamiyakenkyujo.hatenablog.com (55)

  • ASEANは「反共の砦」だったか? 民青新聞を読んで - 紙屋研究所

    共産党を「相談相手」にしている民青(日民主青年同盟)が出している新聞(機関紙)に「民青新聞」がある。その2024年2月12日号を興味深く読んだ。 というのは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)は『反共の砦』として出発したのではなかった」という歴史観が明確にそこ(民青新聞同号)に見出されるからである。 同紙は「東アジアを戦争の心配のない地域へ ASEANの努力に学ぶ」という「論文」めいた特集を「上」「下」に分けて掲載している。しかも同じ号に「上」も「下」も掲載する破天荒なやり方をしている。 あとで述べるけども、彼らが「相談相手」にしている共産党の「しんぶん赤旗」でもASEANについてのこんな詳細な記事(特集・論文)は見たことがない。そして、ASEANについて何の知識もない、ぼくのようなシロートにもわかりやすい記事であった(もちろん限界はある)。「しんぶん赤旗」読者であっても、民青新聞読者で

    ASEANは「反共の砦」だったか? 民青新聞を読んで - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2024/02/22
    “そもそもそのずっと手前から、「地域の外の大国」の自分たちの地域への干渉・関与の仕方を、積極的にコントロールするんだぜ、というわけである”
  • ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所

    スターリンの娘、スヴェトラーナ・スターリナあるいはスヴェトラーナ・アリルーエワの生涯を知ったとき、その激しさと寂しさに、複雑な思いがこみ上げてくる。 スターリンの娘(上):「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯 作者:ローズマリー・サリヴァン 白水社 Amazon 前半生は、ソ連体制下で母親をはじめ、親しい人々が自殺や迫害など次々と横死する。後半生は、ソ連の抑圧体制から逃れて亡命し、アメリカ移住するが、結婚離婚を繰り返し、著作によって手に入れた財産を失ってしまう。 後半生は必ずしも抑圧政治のもとでの不幸ではない。しかし、ソ連崩壊まではソ連当局やKGBの魔の手が絶えず彼女の行く手に現れ、そのことに怯える。 やがて、彼女は西側に幻滅し、ソ連に戻ってしまう。アメリカで生まれた娘・オルガとともに。しかし、そこでもまた彼女の望んだ幸福は得られない。彼女は再びソ連を出国し、アメリカの老人ホームで

    ローズマリー・サリヴァン『スターリンの娘 「クレムリンの皇女」スヴェトラーナの生涯』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2024/02/22
    “スターリンの娘、スヴェトラーナ・スターリナあるいはスヴェトラーナ・アリルーエワ”
  • 倉沢愛子『インドネシア大虐殺』 - 紙屋研究所

    東南アジア関連のを読んでいて、“インドネシアは一番民主的な国”という評価をみた。 ぼくの記憶の中に「インドネシアでは共産党員が200万人くらい虐殺されていたと思うけど…」という断片が浮かび上がる。 むろん、それは「昔」の話のはずだから、そのままではあるまい。 いったい、あの事件はどういうもので、今どんな評価がされているのか。そして政体や政治的空気はどうなっているのか知りたいと思っていた。 そこで書を手に取った。 2020年というごく最近に出たであったが、ぼくは知らなかった。 インドネシア大虐殺-二つのクーデターと史上最大級の惨劇 (中公新書) 作者:倉沢 愛子 中央公論新社 Amazon この事実を聞いたこともないという人も多かろう。事件の概要は次のとおり。 https://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-29/2012072907_01_1.

    倉沢愛子『インドネシア大虐殺』 - 紙屋研究所
  • 「ごん狐」におけるごんの行動や気持ちがなぜ地域に伝わっているのか - 紙屋研究所

    新美南吉はぼくの生まれた愛知県の出身である。「ごん狐」があまりにも有名だ。 ごんぎつね (日の童話名作選) 作者:南吉, 新美 偕成社 Amazon さて、そんな「ごん狐」について、昨日(2023年8月21日)付の「しんぶん赤旗」で、教育実践の報告記事があった(全日教職員組合などでつくる実行委員会主催の教育研究集会における国語教育の分科会)。 小学4年生で「ごんぎつね」を読み合った授業を紹介したのは奈良県の入沢佳菜さん。物語の冒頭にある「これは、わたしが茂平というおじいさんから聞いたお話です」という文章を長い間「読み飛ばしていた」と話しました。この文章から、キツネの「ごん」の話が「村に伝わる意味」を考えたいと授業を組み立て直しました。 なお、新美の原文では次のとおりである。 これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんからきいたお話です。 なるほど確かに、ごんの気持ちは、兵十には

    「ごん狐」におけるごんの行動や気持ちがなぜ地域に伝わっているのか - 紙屋研究所
  • 映画「君たちはどう生きるか」を評価する - 紙屋研究所

    2回見た。1回目は一人で。2回目は家族で。 これは間違いなく、宮崎駿の最後の作品であろう。と予感した。 「まーた、これで最後最後詐欺だろ」という声も聞こえてきて、実際にそうかもしれないけど、そこが問題なのではない。 現在82歳となった宮崎駿。彼にとって、最後の作品が「風立ちぬ」(2013年)ということであったのだが、彼はこれではいけない、と思ったに相違ないのだ。知らんけど。 ぼくは10年前に「風立ちぬ」をかなり厳しく批判した。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 「風立ちぬ」は一言で言えば「人間はそれぞれの時代を、力を尽くして生きている」として、「全体には美しい映画をつくろうと思う」という意図を貫いた映画となった。逆に言えば零戦を開発したという戦争の負の側面は糾弾されることもなく、あるいは何か昇華されることもなく、ただ不問に付されて終わってしまったのである。別にドキ

    映画「君たちはどう生きるか」を評価する - 紙屋研究所
  • 長い休み - 紙屋研究所

    長い休みに入った。 休み明けの日は一応決まっているけども、当にその日に休みが明けるのかどうかはよくわからない。これまでの人生では、そんなことはなかったのである。 休んでいる今、思い出し、読み返すのは大西巨人『神聖喜劇』だった。 神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) 作者:大西 巨人 光文社 Amazon 戦争が始まって対馬の部隊に入隊し、そこで出会った様々な事件を物語を描いた、『神聖喜劇』には、主人公・東堂が、入隊して間もない頃に、朝の呼集時間を知らされておらず、呼集に遅れてやってきて、そのために同じく遅刻した他の4人の新兵とともに、軍曹から厳しく追及されるシーンがある。 〔…〕「わが国の軍隊に『知りません』があらせられるか。『忘れました』だよ。忘れたんだろうが? 呼集を。」 上官上級者にたいして下級者が「知らない」という類の表現を公けに用いることは固く禁物である、——入隊前にもいつかどこ

    長い休み - 紙屋研究所
  • 事実婚と高校無償化 - 紙屋研究所

    娘が進路を決めたタイミングで、同じように公立高校に子どもを通わせることになった知り合いAさんの相談に乗る。 相談とは「自分の家庭は高校無償化の制度の適用を受けるか?」ということである。 公立高校については授業料相当のお金(高等学校等就学支援金*1)を支給するタイプの「無償化」が行われている。 しかし、これには所得制限がある。 目安であるが、高校生1人の子どもがいる場合は、両親が共働きなら年収1060万円、一方が働いているだけなら年収910万円が上限となる。 Aさん夫婦はどちらも働いている。 Aさん夫婦の家庭は、「両親が共働きなら年収1060万円」という条件をクリアしないのではないかという心配がAさんにはあった。 高校のこの無償化制度を使えるかどうかは、行政が勝手に判断して通知してくれない。保護者側が申請をしないといけないのである。 しかし、実際には「高等学校等就学支援金オンライン申請システ

    事実婚と高校無償化 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2023/05/07
    事実婚の場合は親権者は1人しかいないので、所得合算されない “所得制限というものは、線引きの境界でいろんな不公平感を生んでしまう。”
  • 松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』3 - 紙屋研究所

    中学生がオーディションを受けアイドルをめざす物語、松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』は、ぼくの最近のお気に入りである。 なんども見返す。 それは好きなコマが多いからである。 主人公と同じ地元で年上の友人であり、かつアイドル経験者でもある西川蘭。 蘭の所属するオーディションのチームは、番直前、ガチガチに緊張してしまう。そのとき、同じように緊張しているはずの蘭は、リーダーであることを思い出し、自覚を取り戻して、みんなを励ます。 松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』3、双葉社、kindle版109/185 この時の、髪をかき上げながらみんなを励ましている蘭の顔と、「こーんなに可愛くしてもらって」というセリフのくだりがとても印象的で頭から離れない。 蘭は一旦みんなの不安をすべて口にして見せてその不安に寄り添う。しかし不安を全て言い表すことでそれを簡潔に客観視させる。その上で、この笑顔で今の自分たち

    松田舞『ひかるイン・ザ・ライト!』3 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2022/08/28
    “本作では、見てくれている人を意識したコミュニケーションであり、「見てくれている人との関係」にこそアイドルの本質があると見る”
  • 故安倍晋三氏への弔意表明に関する請願 - 紙屋研究所

    次のような請願を教育長と自分の子どもが通う中学校の校長宛に出した。 そこに書いたように内心の自由・表現の自由にかかわる問題であるからだ。 〇〇市教育長 〇〇殿 〇〇市立〇〇中学校校長〇〇殿 故安倍晋三氏への弔意表明に関する請願 2022年7月○日 〇〇市〇〇 (ぼくの署名) 私は〇〇中学校の生徒の保護者です。 掲題の件について、請願法に基づいて請願いたします。 同法第5条等に基づいた処理を求めます。 (請願趣旨) 9月27日に故安倍晋三氏の国葬が行われることが閣議決定されました。この国葬自体が法令上の根拠もなく、国民の「内心の自由」などを侵す不当なものですが、国葬にあたって、政府が、教育委員会や自治体に対して、弔旗・半旗の掲揚や黙祷での弔意の表明を求める恐れがあります。 弔意の表明は来憲法が保障する「内心の自由」と「表現の自由」に関わるものであり、これらの市民・子どもの基的人権が侵され

    故安倍晋三氏への弔意表明に関する請願 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2022/07/24
    “異論がある場合は、声をあげておくことが、それも文書で明瞭に出しておくことが必要だ”
  • 中北浩爾『日本共産党』 - 紙屋研究所

    中北浩爾『日共産党 「革命」を夢見た100年』(中公新書)を読了。細かい評価は別にして「としてどういう印象を持ったか」をざっくり書いておきたい。 日共産党-「革命」を夢見た100年 (中公新書 2695) 作者:中北 浩爾 中央公論新社 Amazon 組織構造や政策などを論評するという「ヨコの軸」でのではなく、100年の歴史を振り返ることで「日共産党」という政党を論じる「タテの軸」でのである。 日共産党は世界的にみて資主義国では共産党という名前の政党が極端に小さくなったり消滅する中で「かなりの踏ん張りをみせている」(p.24)という評価をしている。 そのような「かなりの踏ん張り」はなにゆえ生じているかをみたときに、一言で言えばソ連や中国の影響を脱して、「宮路線」、つまり1961年に現在の原型となる綱領を確定し、指導者であった宮顕治が率いてきた自主独立の路線によるものだと

    中北浩爾『日本共産党』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2022/06/04
  • 坂月さかな『星旅少年』1 - 紙屋研究所

    星から星を調査目的で旅をする(星旅人〔ほしたびびと〕の)主人公(?)の物語である。 星旅少年1 作者:坂月さかな パイ インターナショナル Amazon 主人公はPGT(プラネタリウム・ゴースト・トラベル)という旅行会社の社員で、同社の文化保存局の一員だ。PGTは旅行会社なのであるが、最近は「なんでも屋」になってきており、文化保存局の特別派遣員は 住民のほとんどが眠った星を「まどろみの星」と言って ぼくはその文化を記録するためにこの星に来たのです という仕事内容になっている。 主人公は原付バイクに大きな羽根がついたような「スクーター」に乗って旅をしている。 ストーリーについては、決して「ほのぼの」では終わらせない、不穏なラストで1巻を閉じる。でもまあ、ストーリーは読んでもらえばいいので詳しくは紹介しない。 ぼくがこのをパラパラめくりながらゆったりと付き合っているのは、このの画面の多くが

    坂月さかな『星旅少年』1 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2022/04/26
    “星から星を調査目的で旅をする(星旅人〔ほしたびびと〕の)主人公(?)の物語である”
  • 二つの『資本論』の訳本を読んでときどき感じる当惑について - 紙屋研究所

    新日出版社の『新版 資論』を読んでいてわからない箇所が出てくる。 新版 資論 第2分冊 作者:カール・マルクス 新日出版社 Amazon 例えば、第2篇第4章「貨幣の資への転化」の次の部分である。 買うために売ることの反復または更新は、この過程そのものと同じく、この過程の外にある究極目的、消費に、すなわち特定の諸欲求の充足に、限度と目標とを見いだす。これに反して、販売のための購買では、始まりも終わりも同じもの、貨幣、交換価値であり、そしてすでにこのことによって、その運動は無限である。確かに、GがG+ΔGになり、一〇〇ポンドが一〇〇ポンドプラス一〇ポンドにはなっている。しかし、単に質的に考察すれば、一一〇ポンドは一〇〇ポンドと同じもの、すなわち貨幣である。また量的に考察しても、一一〇ポンドは、一〇〇ポンドと同様、ある限定された価値額である。もし一一〇ポンドが貨幣として支出されるとす

    二つの『資本論』の訳本を読んでときどき感じる当惑について - 紙屋研究所
  • 「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問 - 紙屋研究所

    交通事故負傷者は実際には減ってないのではないか、という「しんぶん赤旗」の記事を読んでその感想を書いた。*1 kamiyakenkyujo.hatenablog.com その後、共産党の塩川鉄也衆院議員がこの問題を国会で取り上げて質問した(6月4日、衆院内閣委員会)。今日の「しんぶん赤旗」にはその反響を書いた記事が載っていた。 そして塩川議員のホームページにはその質問をまとめた記事が載っていた。 www.shiokawa-tetsuya.jp (2021年6月4日 衆議院内閣委員会 日共産党 塩川鉄也 配布資料) 前回記事で青野渉弁護士のコメントを紹介したが、「横ばい」と「半減」ほどに違う。「実数が違うだけで、基的には同じ傾向」ではないのである。これは統計の意味を無効化し、それを基礎にした国策を誤らせる。 乖離が生じているのはなぜかと質問。 警察庁高木勇人交通局長は「自賠責保険では、人身

    「交通事故負傷者は実際には減ってない」問題が国会で質問 - 紙屋研究所
  • 上西充子『政治と報道 報道不信の根源』 - 紙屋研究所

    書は、第一に、マスコミの政治報道への違和感から出発してそれを市民による権力監視の方向で正そうとしている。第二に、マスコミとは別のジャーナリズムの姿を見せて、政治報道のオルタナティブを示している。 政治と報道 報道不信の根源 (扶桑社新書) 作者:上西 充子 発売日: 2021/02/28 メディア: 新書 第一の点については、例えば「野党は反発」「与党は逃げ切り」などの表現を取り上げ、与野党の政局ゲームのように報じる姿勢を批判する。法案について国会審議で争われた中身をきちんと書いて、問題があればえぐるようにすべきだと主張する。また、マスコミの中ですでに自己変革の動きが起きていることも紹介している。 第二の点については、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(日曜版)が「桜を見る会」をスクープしたことを取り上げ、マスコミの記者は同会を長年知って取材もしながら何ら問題意識を持たなかった点に注目。「赤

    上西充子『政治と報道 報道不信の根源』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2021/04/26
    “しかし著者・上西充子は、マスコミに対してそのような「見切り」をつけない。SNSをはじめとするインターネットや新聞などの紙媒体でマスコミ(の記者)に粘り強く批判を行い、改善の道筋を示す”
  • 生き残った - 紙屋研究所

    コロナで始まった娘の中学校生活はなんとか1年目を終えようとしている。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 2学期の終わりに三者面談があり、行った。 担任は「娘さんは遅刻が多いのでなんとかこれを直さないとですね」と言っていた。 遅刻…? 遅刻がどうだというのだろう。 遅刻などいくらでもすればいいではないか。 1学期に休みがちだった学校は遅刻してもいいから行けるなら行った方がいいとは思ったが、行けなくてもしょうがないと思っていた。実際に休んだし、遅刻もした。 2学期に入って学校を休むのは月に1回くらいになったが遅刻はよくしていた。3学期に入って遅刻そのものもかなり減った。 勉強については、1学期は宿題をためにためてしまい、泣きながらやっていた。 2学期になってぼちぼち自分でもやるようになって3学期になって親が「宿題をした方がいいのでは」と言うこと自体がなくなった。 いや

    生き残った - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2021/02/25
    読んだ
  • ヴィトルト・ピレツキ『アウシュヴィッツ潜入記』 - 紙屋研究所

    まもなくアウシュヴィッツが解放された記念日(国際ホロコースト記念日)である1月27日である。 私はアウシュヴィッツで危険なゲームをやっていた。いや、この文章は現実を正しく伝えているとはいえない。実際、私の経験は世間の人々が考える危険をはるかに超えるものだったのだ…… 書の冒頭に掲げられている著者ヴィトルト・ピレツキの言葉(文p.145に登場)である。 書を二度読み直して、このをどういうものとして伝えようかと考えた時、確かに「私はアウシュヴィッツで危険なゲームをやっていた」という規定がしっくりきた。 アウシュヴィッツ潜入記 作者:ヴィトルト・ピレツキ 発売日: 2020/08/18 メディア: 単行 なぜか。 「危険なゲーム書の著者ヴィトルト・ピレツキは第二次世界大戦期のポーランドの将校(大尉)である。同国は独ソに分割され消滅してしまっていた。ピレツキは抵抗組織に身を投じ、「

    ヴィトルト・ピレツキ『アウシュヴィッツ潜入記』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2021/01/19
    うーむ
  • スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所

    リモート読書会は、川谷茂樹『スポーツ倫理学講義』を取り上げた。 このについてはすでに2005年に書評を書いている。 kamiyakenkyujo.hatenablog.com 例えば写真は、今年11月28日付の西日新聞夕刊の記事であるが、柔道の1984年五輪における山下・ラシュワン戦を振り返り、怪我をしていた山下の「右足は狙わないと決めていた」とするラシュワンの言葉を載せ、「その高潔な精神は世界で評価され、国際フェアプレー賞を受賞した」とする。1面のほとんどを使って、相手の弱点を狙わないことを「フェアプレー」として称揚している。 西日新聞夕刊2020年11月28日付(6面) 川谷は、この山下・ラシュワン戦を冒頭に題材にとり、「相手の弱点を狙わないことはスポーツマンシップに悖るのか」という問いを立てている。 川谷は、勝敗の決着こそがスポーツの内在的目的であり、それがスポーツのエトスだと

    スポーツの本質的暴力性とどうつきあうか - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2020/12/30
    "ごく稀に生まれる「勝利を超越した求道」ではなく、勝負事ゆえの常軌を逸した熱さ、そして勝者と敗者のコントラスト、敗者に敗北を与えるという暴力こそがスポーツの本質であるという川谷の主張でこそ、世の中に蔓
  • 大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所

    なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのか 娘(中1)が「環境新聞」というのを学校の宿題で作っていて、横から眺めていた。 温暖化について書いている。 「結論は自分ができることを書かないといけないんだ」と言って、ムダな電気を消すとかそういうことを書いていた。 その後授業参観で、クラスの壁に貼られた、クラスの生徒たちがそれぞれつくった「新聞」を見る機会があったが、温暖化だけでなく、ごみの減量とか、プラスチックごみの縮減とか、さまざまな環境問題についてまさに「自分ができること」で締めくくられていた。例外なく全て。徹底した指示・指導なのであろう。 なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのだろうか。どうして「2030年に8%という低すぎる福岡市の再生可能エネルギー普及率の戦略を引き上げる」とか「プラスチック全般に拡大生産者責任を徹底する」とか、そういう「大きな話」を書いてはいけないのだろうか。*

    大きな枠組みに目を向けさせないようにする - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2020/11/13
    考える
  • 映画『82年生まれ、キム・ジヨン』 - 紙屋研究所

    映画のネタバレが少しあります) リモート読書会の題材となったので、石牟礼道子『苦海浄土』を初めて読んだ。恥ずかしながらそれまで一度も読んだことはなかったのである。 新装版 苦海浄土 (講談社文庫) 作者:石牟礼 道子 発売日: 2004/07/15 メディア: 文庫 なんの知識もなく読んだが、途中から違和感を抱いた。 これは当に誰かがしゃべったことなんだろうか? そしてその「聞き書き」なんだろうか? 江津野杢太郞という9歳の水俣病患者の家族を記したところで、その祖父、爺さまがとともに漁をすることを語る次のような言葉を読んだ時にそう感じた。 あねさん、魚は天のくれらすもんでござす。天のくれらすもんを、ただで、わが要ると思うしことって、その日を暮らす。 これより上の栄華のどこにゆけばあろうかい。 寒うもなか、まだ灼け焦げるように暑うもなか夏のはじめの朝の、海の上でござすで。水俣の方も島原

    映画『82年生まれ、キム・ジヨン』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2020/11/04
    “だから、まさにジヨンは小説や文学を書くべき人であった。最終的に彼女が小説を書き始めたのはとてもよくわかる”
  • 石牟礼道子『苦海浄土』 - 紙屋研究所

    リモート読書会は石牟礼道子『苦海浄土』だった。 新装版 苦海浄土 (講談社文庫) 作者:石牟礼 道子 発売日: 2004/07/15 メディア: 文庫 水俣病について書かれたということは有名なだが、果たしてこれはノンフィクションなのか、小説なのか。石牟礼は「新しい形式の詩」だという。一読して、その意味がわかった。なるほど「詩」である。 つれあいも言っていたのだが、書を読む前は「水俣病について書かれたものだから、きっと有吉佐和子『複合汚染』のようなルポなのだろう」と思っていた。しかしそうではなかった。「社会問題としての水俣病がわかる」というではなかったのである。 率直に言って、水俣病(の概要)について知り、環境問題について学ぼうと思うのであれば、入門としてもっと「適切」ながたくさんある。 ぼくは書を読んで、水俣病そのものの中身ではなく、まず「文学」としてのインパクトを受けた。 その

    石牟礼道子『苦海浄土』 - 紙屋研究所
    mfluder
    mfluder 2020/11/04
    “言葉を奪われた者の言葉を「呪術師」のように紡ぎだすのだとしたら、わかりやすい怒りや恨みが出てくるわけではない。こんなふうになるのかもしれない。 しかし、そうした一面性こそが石牟礼の文学の魅力なのだろ