21世紀は情報化の時代である。情報化時代の戦争は、従来の「消耗戦」に代表される戦車・艦艇・航空機といったプラットホーム中心の戦い(PCW:Platform Centric Warfare)ではなく、ネットワーク中心の戦い(NCW:Network Centric Warfare)と言われている。 NCWの言葉を初めて使ったのは、1998年、当時米海軍のN6(宇宙・情報戦・指揮統制部長)の配置にあったアーサー・セブロフスキー中将*1である。 彼はよく講演などで、「NCWの有用性を最初に大きな海戦の場で証明したのは、日露戦争における日本海海戦で勝利した日本海軍であり、勝利の要因は情報・通信ネットワークの形成と無線電信機の適切な運用にある」と語っている。 そこで、NCW構想創案の端緒ともなった日本海海戦について、海戦時、情報・通信ネットワークがいかに形成され、無線電信機がどのように運用され、そして