長野県川上村は、千曲川の上流部に位置する日本有数のレタス産地。26年前に就任し「奇跡の村」へと牽引した村長藤原忠彦氏(75)は、希望の国ニッポンを再生するためには「人づくりこそが大事」と語る。 * * * 川上村は「平均年収2500万円の村」として知られていますが、所得を増やすことを目標にしてきたわけではありません。 私が村長に就任した1988年には、村はすでにレタス王国としての地位が築かれていました。ただ、後発の新興産地の追い上げもあり、産地間の競争が激しくなっていました。 そこで私が取り組んだのが「人づくり」です。当時は、農業は肉体労働だと思われていましたが、新しい時代の農業は創意工夫と情報化がカギの「知識産業」になると考えたからです。 レタスは、春から夏にかけての約半年間で集中して生産しますので、残りの期間は休みです。そこで、農林水産省からの補助金と村の財源とを組み合わせて95年