飲食店が立ち並ぶ広島県福山市多治米町1丁目の市道を車で走ると「備後やきそば」ののぼりに目を引かれた。住民から「ソースが有名」と薦められた「やまもと商店」。10年前に廃止された福山市営競馬場内にあった食堂の屋号を引き継ぐ店を訪ねた。 サラリーマン風の団体客や若者でにぎわう店内に、代表の山本啓文さん(47)が手際よく焼きそばを焼く音が響く。「もとの食堂の焼きそばの味をベースに、独自に改良を重ねたソースが自慢です」と話してくれた。 多いときは週に1、2回訪れる常連客の整体師南雄介さん(41)=同市東川口町=は「初めて食べたとき、経験したことがない味に衝撃を受けた。焼きそばの中の焼きそば」と頬張った。 食堂は、1949年に開業した市営競馬場で