あの自信は何だったのだろう。10月11日、日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は札幌市の秋元克広市長とともに、冬季五輪の札幌招致見直しを表明した。国際オリンピック委員会(IOC)に置き去りにされる日本の現状をも浮き彫りにした、残酷な記者会見だったと思う。 この場で山下会長は、2030年大会を諦め、34年以降の大会招致を目指すと説明。かねてIOCは30年と34年の開催地を同時に決める案も検討しているようだったが、山下会長は「そういう情報も一部にはあるが、可能性としては低いと考えている」。きっぱりと言い切った。 日頃から「IOCとは頻繁に意見交換をしている」と語っていた山下会長が自信たっぷりに言うのだから、よほど確かな情報なのか。だが、その4日後にIOCはインドで開いた総会で、あっさりと30、34年の両大会開催地を同時に決めると決定。11月の理事会で、30年はフランスのアルプス地域、