大動脈瘤の頻度が最も高いのは、腹部大動脈の中でも腎臓より下の場所。心臓を出て上行する大動脈がU字にカーブする部分(弓部大動脈)にも多い。(原図:PIXTA) 「大動脈瘤ができる原因の根っこには、多くの場合、動脈硬化が関係しています。動脈硬化はもろい石のようなイメージで、心臓から送り出される血液によって圧がかかり続けると膨らんでしまいます。しかも、一度膨らみ始めた場所にはますます大きな圧力がかかるようになり、さらに膨らみます」。そう説明するのは慶應義塾大学医学部外科学教授の志水秀行氏です。 大動脈瘤は基本的には症状がないまま大きく膨れます。「ある日突然破裂すれば、吐血や下血が起きたり意識を失ったりして、緊急手術以外に命を救う方法はありません」(志水氏)。破裂前に見つかるケースの多くは、別の病気で精密検査を受けたとき、あるいは人間ドックでCTなどの画像検査を行ったときに、偶然に発見されるケース