人間は長い年月をかけて進化してきました。身体だけではなく、私たちの〈心〉も進化の産物です。 ではなぜ人間の心のネガティブな性質は、進化の過程で淘汰されることなく、今現在も私たちを苦しめるのでしょうか? 進化生物学研究者の小松正さんが、進化心理学の観点から〈心〉のダークサイドを考えていきます。 前回、なぜ人間は「陰謀論」に陥りやすいのかを考察しました。 今回は「サイコパス」という存在を、進化心理学の観点から、その特徴と対応について小松さんが論じます。 イラスト/浅川りか 罪悪感を持たず開き直る 日頃は好人物のように見えても、いざというときに冷酷な本性が現れる。場合によっては法を犯すことも厭わない。その被害をこうむる立場からすれば、非常に恐ろしい存在でしょう。近年、こうした反社会的人格の持ち主はサイコパスと呼ばれ、注目を集めています。 よく知られているサイコパスの特徴は冷酷であること、良心・共