喜多川歌麿・勝川春潮《会本妃女始(えほんひめはじめ)》1790年 国際日本文化研究センター 恋愛とセックスと便所と排泄物の関係は、切っても切れないと思います。 古くは『宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)』に本院の侍従に恋をした平貞文が、彼女への気持ちを諦めるために彼女の“し尿”が入った虎子筥(おまる)を奪った話があります。彼がその虎子筥の蓋を開けて匂いを嗅ぐと、彼女の排泄物ではなく丁子(クローブと呼ばれるスパイス)の煮汁と丁子の残片が入っていました。甘くて良い香りが漂う丁子を仕込んだ彼女の方が何枚も上手(うわて)だったため、結局彼は恋心を捨てきれなかったのです。 上図のように、春画では喜多川歌麿・勝川春潮『会本妃女始(えほんひめはじめ)』をはじめ、便所や女性の排泄シーンが描かれることは珍しいことではありません。たまたま、そういう雰囲気になった男女が人目を避けるために便所の中で立ったまま