2019年12月。 都会の震えるような寒さに耐えられず、温かい場所へ行きたくなった。 母に「寒さが限界です」と、LINEを送る。 ポンッという音がして、母から返事がきた。 「それはもう、沖縄やな」 旅行と鉄鍋は似ている 沖縄は母が退院して初めて行ったときから、今や家族旅行先の定番になった。 だから、こういうLINEのやり取りは、度々行われる。 今回は、母と弟と私で、2泊3日。 何度も沖縄へ行っていると、どんどん、自分たちの細かいライフスタイルにあう旅へとアレンジできるようになっていく。 年数をかけて油が馴染んでいく、鉄鍋みたいだなあと思う。 使いやすく、美味しく、愛着が湧く。そんな感じ。 例えば、手動装置付きのレンタカーを借りること。 少し前まではタクシーやバスを使っていた。 でも、車を自由に運転し、海を横目に風を切る気持ちよさは捨てがたい。 下半身麻痺の母が手だけで運転できる車を貸してく