日本人の2人に1人がかかると言われるがん。近年、医療技術の進歩で、がん患者の生存期間は大きく延びた。それに伴い、大きな悩みも出てきている。一つはがんが引き金となって心臓病や脳梗塞を発症する問題。もう一つは治療が長引くことによる費用の問題だ。がん治療の「その先」の課題に向き合う医師や患者を取材し、実情に迫った。(ノンフィクションライター・古川雅子/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部) 滋賀県に住む元会社員の清水佳佑さん(40)は2016年末、会社の健康診断で肺に影があると聞き、耳を疑った。当時30代と若く、自覚症状もなかったからだ。年が明けて精密検査をしたところ、肺がんと診断された。2カ月後、呼吸困難に陥り緊急入院。がんが肥大化して心臓の外側の心膜に達する合併症「がん性心膜炎」になっていた。肺がんのステージは最も進行した4だった。 「もう生きられないんじゃないかと思った。子どもたち