世界を制した「ばね」会社の破天荒な経営戦略〜ニッポンの中小企業の「底力」をみよ 大企業の軍門に下ってたまるか! 大企業から厳しい値引き要求を突きつけられたら、泣く泣く応じるしかない。それに耐えられない中小企業は、転業や「退場」を余儀なくされる――それが日本の産業界の「常識」だ。 ところが、大企業の軍門に下るどころか、敢然と立ち向かっている中小企業が、大阪市にあった。東海バネ工業。小惑星探査機「はやぶさ2」や「東京スカイツリー」、「しんかい6500」に特別仕様のバネを供給している会社である。 「値引きしてまで売らない」「わが社の言い値で買ってもらう」。大きな自信の背景には、「ばね職人」を自負するベテラン社員たちの高い技術と、1個1個の手づくりへのこだわり、そして一人一人の従業員を大切にする社風があった。 大量注文にはいっさい応じない 東海バネ工業は、社名の通り「ばね」のメーカーだ。ばねをつく