中国で生活して土地のものを食べていると、「日本にはなぜこの料理や調理法がないのだろう」と思うものに度々出合うことがある。今回ご紹介する地三鮮(ディサンシェン)もその一つだ。 ジャガイモ、ナス、ピーマン、3つの野菜の炒めもので、もとは中国東北料理とされる地三鮮。しかし現在は東北地方に限らず、中国家庭料理として少しずつローカライズされながら、中国各地に普及しているようだ。食材はいずれも日本でも身近なものだが、なぜか日本ではあまり見ない。 東北三省(黄色の部分)。黒龍江省はロシアと隣接する。 地三鮮と運命の出合い 私、アベシが地三鮮と出合ったのは、上海近郊の地方都市・常熟市に駐在していた頃だ。 常熟市は、ちょっと前まで日本では無名の武漢市駐在者から「マニアックなとこに住んでますね~」と言われるほどの無名な街だが、100社以上の日系企業が進出しており、日本料理店も多い。 私も赴任当初こそ日本料理店