長引く物価高のさなか、逆に「値下げ」に踏み切る小売店が出てきた。家計が支出に慎重になるなかで、なんとか売り上げを増やすためだ。ただ、値下げの動きの広がり方次第では、政府・日本銀行が目指す「経済の好循環」が遠のいてしまう可能性もある。 東京都江東区のスーパー、東武ストア東雲店は10月末、買い物客でにぎわっていた。近くに住む会社員の女性(38)は、税抜き108円のカップ入りのカフェラテを買い物かごに入れた。これまで149円だったがこの日、約3割安くなっていた。 3人の子育て中。今年に入り物価上昇を実感するようになった。「買い物での金の減り方がすごく、物価高を意識させられる。今日は値下げ品を調べてから来た」と話した。 東武ストアは8月から「緊急値下げ宣言」を掲げ、関東の約60店で生活必需品の一部を最大3割値下げした。1カ月ごとに商品を入れ替えながら値下げを続け、10月は226品目が対象。11月は