舞台芸術では、陽気な登場人物というのは人気があります。笑える喜劇には集客力があり、そこに登場する楽しいキャラクターはお客さんから好かれます。賑やかな人物を演じてお客さんを笑わせることができる役者は重宝されるのです。 しかしながら、これが女性、しかも既婚女性ということになると、ちょっと様相が変わってきます。女性は大人しいほうが良いという社会通念がある上、夫に従うべきだというような規範も加わってきます。女性キャラクターにはいろいろな制約があり、なかなか男性と同じような形で「陽気」にはなりにくいと言ってもよいでしょう。 今回の連載では、そのものずばりタイトルに「陽気」が入っているウィリアム・シェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち』と、フランツ・レハールによるオペレッタ『メリー・ウィドウ』(「陽気な寡婦」という意味です)をとりあげ、陽気な既婚女性のキャラクターがこうした制約の中でどのように描