開戦までにさほど時間はかかりませんでした。 1939年9月1日、ドイツはラジオ放送局への攻撃を理由にポーランドに宣戦布告。グライヴィッツ事件と呼ばれる、後にハインリヒ・ヒムラーによる工作であったと発覚した自作自演の開戦でした。 ポーランドは自由都市ダンツィヒとメーメル含むポーランド回廊の帰属についてドイツと領土対立を抱えており、ドイツで権力を掌握したナチス首脳陣は領土的野心を隠さず……というのは先の記事で紹介したゲームで既に皆さんもお分かりになっていたことでしたね。
しかし、悪評にも理由はあります。本作は同年イギリスで発生した「ソールスベリー毒殺事件」という実在の化学テロをテーマにしており、イギリス政府はこの事件の実行犯がロシア軍の諜報員だったと断定したものの、ロシア政府は真っ向から否定し容疑者の身柄引き渡しを拒否しました。 つまりこのゲーム、そんなセンシティブな情勢下でロシア側から出てきた、イギリスの国民感情を逆撫でするブラック・ユーモアだったというワケです。 ゲームボードには、二人の容疑者が英国入国までに辿った軌跡と、ソールズベリーを歩く防護服を着た人々が描かれている ナチス政権下のドイツで作られたあまりに“明白”なゲームたち その後、イギリスを含めたヨーロッパ諸国とロシアの関係性は悪化の一途を辿り、2023年現在彼らがどのような関係になっているかは……敢えて説明する必要もないでしょう。 娯楽は娯楽であるがゆえに、属する社会の価値観に大きな影響を受
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