私は二度、東京での勤務経験がある。最初は1998年春からの4年半、2度目は2005年7月からの半年間である。そのころ、大学時代の知人に頼まれ、時間に余裕があるときは、母校のマスコミ講座に講師として足を運んでいた。 「講座」と言っても、正規の授業ではなく、簡単に言えば、マスコミ予備校みたいな感じである。講座の終了後、二まわりほども年齢の違う若い学生さんと、界隈の居酒屋で、あれやこれや、わあわあと話す。それがまた楽しかった。他の学校に呼ばれた際も、その学校の学生さんらとの交流ができ、私には大きな財産だ。 で、ありがたいことに、「ロンドンに来ましたから」と言って、わざわざ声をかけてくれる人もいる。過日も、そんな一人と数時間、歓談した。彼はこの春から、記者として仕事をすることが決まっている。 そういう若い人と話していて思うのは、「記者人生」の時間の短さだ。今の日本の新聞社やテレビ局だと、取材現場に
新聞の<われわれ>とはいったい誰か ジャーナリストの玉木明氏は、オウム真理教事件の直後に刊行された「ニュース報道の言語論」という本で、新聞記事の主語は、実は文面にはいっさい出てこない「われわれ」であると書いている。たとえば、次のような記事の文例を見てみよう。「強引とも言える捜査は、小さな山村の集落の住民を相互不信に陥らせ、人のつながりを壊した。警察への憤りも広がっている」(二月二十三日、鹿児島県議選買収無罪判決の記事から)。この記事で警察に憤っているのは、誰なのか。ここで憤っているのは、実は書いた記者個人という「わたし」なのだが、しかし記事の文脈では「私が憤った」とは書かれていない。あくまでも社会全体の「われわれ」であるというスタンスを取って書かれているのだ。玉木氏は前掲の書籍で、以下のように書いている。 ある特定の観点を<われわれ>の観点とみなすこと、特定の主張を<われわれ>の名において
毎日新聞の連載「ネット君臨」について、その後私の取材活動にいくつかの進展があった。時系列から言えば、まず第一に、毎日新聞社から「ネット君臨」座談会に出席するよう求められた。ちなみにこの要請は、Cnetの前回のエントリーをアップロードした前日のことで、前回のエントリーを見て座談会出席の依頼が来たわけではない。ちなみに座談会の内容は、毎日インタラクティブで公開されている。 第二に、これに合わせて私は取材班に取材を申し込んだ。正確に言えば、毎日新聞社長室広報担当に電話し、その上で質問要旨を書いたファクスを送り、インタビューに応じていただくように申し入れたのである。広報担当者とはその後数回のやりとりがあり、20日に毎日新聞社編集局長応接室で取材が実現した。私としてはネット君臨取材班の花谷寿人デスクやTキャップ、I記者らに対応してもらえればと思っていたのだが、インタビューに応じてくれたのは、同社編集
第2の西山事件なのか――。防衛省の一佐が読売新聞の記者に機密情報を漏洩させたとされる事件で、一人の「女性」の存在が突如として浮上した。米国大使館に勤務していた女性とされているが、読売新聞は取材過程における女性の関与を全面否定している。ただ、複数のメディアが伝える、女性、一佐、記者、3人の関係は奇妙なほどに一致している。 「通常の取材ではなかった」ことをほのめかす この女性の存在が浮上する前触れは、「一佐の事情聴取」の報道直後からあった。 問題となっているのは、読売新聞が2005年5月31日に1面で報じたスクープ「中国の潜水艦、火災か」。この記事は、中国海軍の潜水艦が南シナ海で潜航中に火災事故を起こしたことを報じたもの。記事では、「日米両国の防衛筋が確認したもの」として、「中国海軍所属の『明』級のディーゼル式攻撃型潜水艦で、300番台の艦番号がつけられている」と詳細に報じている。そして、この
どうも、J-CASTニュースの記事に付いている画像は、取材の時に撮ったというわけではないらしい。 J-CAST ニュース : 「ペコちゃん」人気は不滅 森永もヤマザキも「ほしい」Image:Ginza FUJIYA 2006.jpg - Wikimedia CommonsJ-CAST ニュース : 共産党大はしゃぎ 「2ちゃんねる」にカキコミImage:Japanese Communist Party Central Comittee 1.jpg - Wikimedia Commons(この画像をトリミングしている)J-CAST ニュース : 沖縄の給食費滞納率 異常に高いのはなぜかImage:Okinawa Prefectual Office.jpg - Wikimedia CommonsJ-CAST ニュース : 日興の桑島新社長 お粗末ハラハラ記者会見Image:TokyoStock
少し古い話になるが、毎日新聞が元旦の紙面で「ネット君臨」という年間企画連載をスタートさせた。この連載をめぐって、ネットの世界からは激しい批判が巻き起こったのは記憶に新しい。 私もこの連載を通して読んでさまざまな感想を抱いたが、その感想についてはとりあえず別の機会に書いてみたいと思う。ここでは、「ネット君臨」がもたらした「取材」という行為の正当性と可視化についての問題について、少し考えてみたい。「ネット君臨」における取材行為は、その問題を考えるための格好のケーススタディになっているように思われたからだ。そこで記録として、若干の取材結果も踏まえてこのブログにその経緯を記しておこうと思う。なお最初に記しておくが、この経緯はあくまでもがんだるふ氏の側から見た一連の経緯であって、毎日新聞サイドには現時点では私は取材していない。したがってエントリーの内容が、かなりがんだるふ氏に拠っていることをお許しい
オーマイニュース編集長・鳥越俊太郎氏およびJANJAN編集部は、責任を全て一市民記者にかぶせるつもりなのでしょうか? ●23日付けで『JANJAN』編集部に辞表を提出した増田美智子記者と『JANJAN』編集部が没にした増田美智子記者のマボロシ記事の驚くべき内容 今回の騒動の発端となった11日付けの増田美智子記者によるインターネット新聞JANJANに掲載されたスクープ記事の情報提供者であるジャーナリストの寺澤有氏が、昨日(23日)自身のブログで、「増田氏は本日(2007年1月23日)付で『JANJAN』へ辞表を提出した。」ことを明らかにいたしました。 増田美智子氏より寄稿された記事を掲載する。本稿は、増田氏が勤務するインターネット新聞・『JANJAN』で不採用とされたものである。増田氏は本日(2007年1月23日)付で『JANJAN』へ辞表を提出した。 (後略) 2007年1月23日 (火)
QAB-WEBに関するすべての版権および著作権は、琉球朝日放送QABに帰属します。文章による許諾なくして、本ホームページに使用された写真、記事などの無断転用を禁じます。 JCJ賞&「地方の時代」映像祭 審査員会推奨の2冠! プロデューサー 仲里雅之 ディレクター 土江真樹子 構成 松石泉 カメラマン 譜久原哲也 嶺井政樹 撮影助手 加藤時朗 昨年数々の賞を受賞し、話題となった復帰特番「告発」の続編として、今年放送された「メディアの敗北 〜沖縄返還をめぐる密約と12日間の闘い〜」がJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)に加え、「地方の時代」映像祭 審査員会推奨を受賞した。 「地方の時代」映像祭は、埼玉県越谷市が設けている賞で、民間放送局を始め、NHKや各自治体から幅広い映像作品の応募がある。 「メディアの敗北」概要 沖縄返還に伴い、本来米国が支払うべき軍用地の強制接収など
1972年に起こった外務省機密漏洩事件についてのルポルタージュ。初版は1978年で、絶版になっていたが、今年、文庫として復刊された。そのきっかけはおそらく、外務省の元アメリカ局長が密約の存在を認めたことだろう。この事件で有罪判決を受け、毎日新聞を辞職した西山太吉氏は「外務省高官などの偽証によって名誉を傷つけられた」として、国家賠償訴訟を起こした。 事件は、最初は沖縄返還にからむ密約を社会党が国会で追及したことに始まる。ところが、そのうち情報源が外務審議官の秘書であることが判明し、西山記者が、それを入手しようとして、秘書と「情を通じて」国家機密の漏洩をそそのかしたとして国家公務員法違反で逮捕され、事件は男女問題のからんだ奇怪な展開になる。結局、最高裁まで争われた結果、被告側が全面的に敗訴した。 この事件は、過去の話ではない。当時追及された土地の原状回復補償費400万ドルだけではなく、核兵
一 国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいい、その判定は、司法判断に服する。 二 昭和四六年五月二八日に愛知外務大臣とマイヤー駐日米国大使との間でなされた、いわゆる沖縄返還協定に関する会談の概要が記載された本件一〇三四号電信文案は、国家公務員法一〇九条一二号、一〇〇条一項にいう秘密にあたる。 三 本件対米請求権問題の財源についてのいわゆる密約は、政府がこれによつて憲法秩序に抵触するとまでいえるような行動をしたものではなく、違法秘密ではない。 四 国家公務員法一一一条にいう同法一〇九条一二号、一〇〇条一項所定の行為の「そそのかし」とは、右一〇九条一二号、一〇〇条一項所定の秘密漏示行為を実行させる目的をもつて、公務員に対し、その行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる慫慂行為をすることを意味する。 五
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