舞台は古代中国であり、中国の文献、特に前掲の『唐国史補』に取材するとされる[41]。 あらすじ[編集] 能の『猩々』のあらすじは以下のとおりである。 むかし、潯陽江(中国語版)(揚子江)の傍らにある金山に、親孝行者の高風(こうふう)(ワキ)という男が住んでいた。高風は市場で酒を売れば多くの富を得るだろうという、神妙な夢を見てお告げに従い市場で酒を売り始める[42]。 酒売りは順調に進んだが、毎日高風の店に買いに来る客の中に、いくら飲んでも顔色が変わらず、酒に酔う様子がない者がいた。不思議に思った高風が名前を尋ねると、自分は猩々と言う海中に住む者だと答えて立ち去る(中入り)。 そこで高風は美しい月夜の晩、潯陽江の川辺で酒を用意し猩々を待っていると、水中の波間より猩々が現れる(後シテ)。共に酒を酌み交わし、舞を舞い踊り(中之舞、または猩々乱(みだれ))、やがて猩々は高風の徳を褒め、泉のように尽