忍者や忍びというと、荒唐無稽な存在と私たちは考えるが、 スパイと言い方を変えるとどうだろう。スパイは現代でも 世界中で、諜報活動に暗躍していることを誰もが知っている。 忍者とは、江戸時代以前の日本で諜報活動に従事した者たちだ。 その中に、徳川将軍直属の「御庭番」がいた。 薩摩藩主を驚愕させた「蘇鉄問答」 「蘇鉄(そてつ)問答」と呼ばれるエピソードをご存じでしょうか。 江戸時代後期の徳川11代将軍家斉の時。江戸城に伺候してきた薩摩藩主・島津斉興に対して、将軍家斉が声をかけました。 「そのほうの国許の屋敷の庭に植えてある蘇鉄の木は、なかなか見事なものであるな」 「ははっ・・・?」 斉興は戸惑います。三田の上屋敷や桜田の中屋敷ならばともかく、将軍が江戸から遥かに遠い、薩摩のわが屋敷の庭の木を知っていることなど、あり得ないからでした。 怪訝な表情の斉興に、将軍家斉は笑みを浮かべて続けます。 「疑っ