福岡市東区の多々良川河口に架かる名島橋の写真を撮影してきた。九州の大動脈、国道3号線の橋でもあり、車で渡ったことは数限りなくあるが、徒歩で渡ったのは多分初めてではないかと思う。1933年(昭和8年)に完成した7連アーチの鉄筋コンクリート橋で、一昨年には国の登録文化財にもなっている。長さ約204㍍、幅は約24㍍。車道は片側3車線で、両側には広い歩道もある。昭和初期に完成した橋としては破格のサイズだ。この橋が還暦を迎えた1993年頃には、車社会の到来以前に巨大橋が架けられた理由は謎だと、テレビや新聞で盛んに取り上げられていた。 当時、謎の解答として挙がっていたのは<1>戦車も通行可能な軍用道路として計画された<2>将来、路面電車が通れるように広くした<3>非常用滑走路の機能を持たせた――といったところだが、登録文化財となった際、もっと明快な見解が近代遺産の研究者から示された。「大正8年の道路法