本文中に「妙齢」という言葉を使うと、次々に「それは正しい意味で使っているのか」と難詰される。 誤って使われている確かな形跡がなくてさえ、である。 つまり見識高い妙齢警察官たちは「妙齢は常に間違った意味で使われ、正しく使う者はいない」という原則のもと職務質問を行っている。 妙齢は相対的な形容なので「弱冠=二十歳」のような客観的定量的な定義がなく、それがゆえに、どんな場面で用いても誤りと解釈できる余地がある。いわば、好きな場所に動かせるゴールポストだ。したがって、どんな意味で使っていても使った瞬間に有罪が確定するのである。 言語警察を勇躍させる語は妙齢だけではない。ゆめゆめ油断しないでほしい。